Nothing is difficult to those who have the will

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

遅ればせながら、ゆずソフト「サノバウィッチ」の感想を書いてみる。その2.寄る辺を失った主人公 と ようがす先輩に期待したもの

ようがす!(挨拶)

カナリヤです。今回はゆずソフトサノバウィッチ」の感想記事その2です。その1は下記から参照していただければ。

mywaymylove00.hatenablog.com

本日は年上の魅力で主人公を転がしまくり?みんな大好きようがす先輩こと戸隠瞳子先輩ルートについて。既プレイ前提ですので未プレイの方はご注意ください。ちなみに僕はお姉さんキャラが大好きです。

それでは始めていきます。

 

あなたの気持ちが知りたい

主人公が他人の感情を読み取る能力があることことは前回お話した通りです。物語序盤にて主人公はヒロインのひとり綾地寧々と契約を結んだアルプ(妖精?のようなもの)である七緒にこの能力が寧々と同様にアルプと契約した母親から流れてきた魔法の残滓であることを示唆されます。自身の能力の正体が判明したことで多少気が楽になるものの、この無遠慮な指向性のない能力に辟易した気持ちは変わりません。それでも七緒との邂逅によりこの能力を前向きに捉えることができるようにと決意を新たにするわけですが、本ルートでは主人公にとってこの忌々しい魔法がその実自身にとって切り離せないものであったことが提示されます。

 

主人公は瞳子先輩と相対した際にいつも不思議に思うのです。この人の感情が流れてこないのはなぜだろうと。もともと相手の全てを感じ取れるほどの強力な力ではなくその時々、瞬間の感情を読み取るだけのもの。でも瞳子先輩が直接主人公に触れようとも、面と向かってやり取りをしようとも感情が流れてこないのはどういうことなのか。そこで主人公はようやく思い至ります。流れてこない、のではなくそもそも読み取ることができないのだと。あんなにも誰彼かまわず強制的に感情を読み取っていた魔法が、瞳子だけにはまるっきり通じないのだと。

煩わしいと思っていた魔法が無効化されている。昔から憧れていた、いつの間にか諦めてしまっていた「相手の気持ちが分からないこと」という感覚。この至って普通の、皆と同じ感覚に感慨を抱く主人公は一つの可能性を見出します。瞳子先輩の感情を読み取れないことは何らかの要因がトリガーとなっているのであれば、それを突き止めることができればこの魔法を瞳子先輩以外にも無効化できるのではないか?

打算で持って瞳子先輩と交流を重ねていく主人公は、次第にそれだけではなく瞳子先輩に異性として惹かれていくことを自覚しますが、徐々に「感情を読み取れないこと」に苦しむことになります。

意識したら、先輩と会話するのが怖くなってきた。

変なことを口走って、実は不興を買っていたらどうしよう…。

今までは能力を疎ましく思ってたくせに、その人が何を考えているのかわからないのが不安で、知りたいと思ってしまうんです。

ここの描写が現実に即していて非常に面白いと思うんですよね。主人公は自身の魔法を消えてほしいとさえ思っているのに、その魔法がないと目の前の人と何を話していいのか分からなくなってしまう。人とのコミュニケーションにおいてはこの魔法に頼り切りだったことに主人公はここでようやく気づくのです。

当たり前ですが人は誰かと会話をする際にその表情や話し方、身振り手振りを観察して何かしらの判断を下しています。そのどれかひとつでも不能ないし遮断されてしまったら間違いなく以前のように判断することは難しくなるでしょう。直接対話することと電話で応対するのでは異なる対応になってしまうように。この場合は自分と相手がお互いに直接対話していないことが既知なわけですから戸惑いも少ないでしょう。しかし主人公の場合は自身が一方的に感覚の消失という事態に陥ってしまうわけです。

主人公は魔法により他者の感情を受け取り続け、辛い経験をしてきた経緯から周囲との距離に気を使い自身が傷つかないように対処してきました。それはあくまでも表面的なものであり実際は心に穴が空いていると称されるほどに摩耗していったわけですが、それでもそういった判断を日々下していくことは本人にとっては非常に気楽なものだったのではないでしょうか。ひとまずこういう対処をしておけば自分が必要以上に嫌な思いを抱かずに済む。けして事態が好転することはないけれど少なくとも悪化することはなくなる。一歩踏み出す決断をしたとはいえ既にそれは自分にとって周囲へのアプローチの前提になっていたのです。いわばセーフティネット。踏み出した足をまた元に戻せばいい。いつものように空気を読んでしまえばいい、事態が逼迫してしまった場合は最悪そうすればいいと、そんな気持ちがあったとしてもそれを責める気にはなれないでしょう。だってそう生きてきたから。たとえ自らが望んだことではなかったにせよ、そうして生きてこられたからです。

主人公の動揺は描写自体さほど多いものではありませんし、瞳子先輩という限定された個人に対してのみであり、多少穿った見方であることを否定できませんが、この「自己が培ってきた感覚」が突然消失する恐怖はなかなか想像を絶するものがあるんじゃないでしょうか。

 

瞳子先輩は恋に興味を抱きながらも前に進めずにいる自身と周囲と距離を取ってしまう主人公を「似た者同士」と共感の意を示し一緒に恋愛というものへの理解を深めようと提案してきます。この共通認識、共に歩んでくれる瞳子先輩という存在。でも彼女のことだけが主人公は分からない。分からないから分かりたい。理解したい。彼女のことがこんなにも知りたい。

本ルートで描かれた主人公が今まで知らなかったことに気づき、知り、足掻き、そして大切なものを得ていく過程というカタルシスは素晴らしいものだったと思います。

 

さよなら、ようがす先輩

ここからはちょっと愚痴めいたものになります。

こうして再プレイを終えて当時と今の自分の感覚を照らし合わせてみても、瞳子先輩には「こうあってほしい」という明確な個人的願望が共通ルートから既に確立されていたように思います。そしてそのことが最後までプレイの足を引っ張っていたとも。

僕は、瞳子先輩は、男を誑かす悪女キャラであってほしかったんです。

 

第一印象。先輩というには少し身長小さめかつ幼い顔つきに流れるような黒髪をサイドで軽く結った感じ。そしてそんな少女チックさに似つかわしくない豊満なスタイル、特に立ち絵からでも存在感ある乳の垂れ具合。常に柔和な表情を浮かべ、思わず甘えたくなるような包容力を隠しきれない立ち居振る舞い。僕はお姉さんキャラが大好きなんです(2回目)。

次にその言動。共通ルート終盤にて、瞳子先輩からのオカルト研究部の廃部を阻止することと引き換えに会長候補を探してほしい、という依頼を無事完遂したものの、後日そもそもオカ研自体に実績がないと廃部阻止は無理、ということでハロウィンパーティの実行委員を任せられた主人公たち一行。初プレイ時の僕はというと、ようがす先輩に体良く利用されてるなぁ。ようがす先輩は人を利用することに長けているんだなぁなんて思ってしまったのですが、再プレイしてみたら瞳子先輩もガッツリ準備に付き合ってるし全然そんなことはありませんでしたけども、少なくともちょっとやそっとじゃ牙城を崩せなさそうな、攻略に一癖ありそうなキャラという印象を抱いたんです。

瞳子先輩って上記の流れもそうなんですが、主人公が感情を読み取れないという設定であったり、自身に好意を持つ越路さんに対して彼女から明確な言葉を引き出すことなく関係を落ち着かせた話運びの上手さ。そして自分の見た目がいかに周囲に魅力的であるかを熟知しているとしか思えない、後輩である主人公への妙な含みを感じさせてくる会話などなど。瞳子先輩を構成する一つ一つがすべて、手練手管で人を操る一筋縄では行かないキャラを常に演出してくれていたように思います。

そして極めつけ。声がすっごい好き。最初声優さんまるで分かりませんでした。独特な間延びした声色で「まーかせて」とか「ちょーっと待ったー」なんて言われた時はもう真っ先に瞳子先輩ルート行こうってなりました。僕はお姉さんキャラが大好きなんですが(3回目)、中学生男子が妄想しがちなエロい姉の存在を具現化したかのようなそのセックスアピールを、情欲を日常会話だけで掻き立ててきてもうたまらなかったわけです。

このように小悪魔キャラとその童顔かつ豊満なボディを惜しげもなくアピールしていき共通での絡みもやたら性にオープンな分、個別での主人公とのやりとりではさぞ手玉にとるようなあの手この手を披露してくれるに違いあるまい。もっと主人公を振り回していって手のひらで踊らせる様を楽しむような、そんなユーザーをやきもきさせてくれる展開を見せてくれるはず。主人公のような、友人である海道くんに「中学生ですか!」とバカにされてしまうような人間関係ビギナーが先輩のような高難易度キャラの心を徐々に溶かしていくような、そういう情景を思い浮かべて共通ルート時点でワクワクしていました。

しかし個別に入ってみると少し様子が異なります。

誰にも本当の顔を見せないような一癖あるようなキャラを想像していた瞳子先輩が主人公に対して訥々と弱音を吐いてきます。

AVの件もこもわた絵が相俟ってどうにも微笑ましい感じ。

一緒に頑張ろうと提案してきた「恋のお勉強」も、なんか思ってたのと違います。

主人公と同じようにエロエロンな展開を想像してしまいましたが、でもそういうことなんです。都合の良い想像をしないわけにはいかない。セックスシンボルが彼女の根幹であるように思えてなりませんでした。

僕は、瞳子先輩は、男を誑かす悪女キャラであってほしかった。

 

 

そもそものテーマ性にも少し触れていきます。個別ルート終盤、瞳子先輩は主人公の母親と契約した元アルプであることが発覚します。元々人間ではない先輩は人間としての恋愛感情を抱けない(というよりも知らない)以上、恋愛感情の芽生えは主人公にこそあってしかるべきだと僕は当初から感じていたように思います。少なくとも劇中で示されたような同時進行ではなく。

気持ちが読めない先輩と相対することで人との向き合い方を真剣に考えるようになり、やがて先輩への恋心へとつながっていく。恋に至るその発露をお話のテーマとしているのであれば尚更その過程を、できれば主人公サイドに絞り、彼を中心として作中で表現して欲しかったんです。詰まるところ、僕は最初の項で述べたカタルシスを得るために彼女はただただ機能的に動いて欲しかったのだと感じていたんでしょう。

元アルプである彼女の回想シーンが最後までなかったこともそれに拍車をかけていたように思います。主人公の両親の仲睦まじい関係性を夢に見て、それに憧れた、というようなセリフはあっても、瞳子先輩目線での回想においてそうしたシーンは一度もありません。終盤にて発覚しますが瞳子先輩は自身のアルプとしての記憶と能力を自ら封印していたため、残滓として無意識下で夢に見ることはあっても意識的にそれを捉えることはできなかったのだと思われます。であるが故に皮肉にも彼女を彼女たらしめた要素自体がキャラ個人の希薄さに繋がってしまい、瞳子先輩という「理想」と恋愛感情の芽生えという事象との不一致を生んでしまったのだと思います。

 

エピローグにて、封じていたアルプであったときの記憶や能力を捨てた瞳子先輩は自身のこれまでのあけっぴろげな言動に対して恥じらいの感情を抱きます。そうした普通の女の子めいた反応を楽しむためには瞳子先輩に抱いた理想にあまりに強く引きづられてしまったというこのやるせなさ。お話自体は恋を育んでいく過程が、柔らかくも刺激に満ちたものだっただけに消化不良に終わってしまったような感覚がなんとも歯痒く、感傷とカタルシスの余韻にどこまでも浸ってしまうでした。

 

終わりに

思ったよりも時間がかかってしまいました。瞳子先輩、もといようがす先輩についてでした。サノバはヒロインの服の差分が多い印象ですけど、僕は特に先輩の部屋着の感じが好きでねぇ…(しみじみ)。

さて次回は、僕が同じ立場だったら迷うことなくふんどし履いてる。「えろえろー」でお馴染み椎葉紬ルートです。

それでは。

がってん!(挨拶)