Nothing is difficult to those who have the will

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

現時点ではなんとも。でも妹は可愛い、ぱれっと新作「9-nine-ここのつここのかここのいろ 第一章」 感想を書いてみる。

カナリヤです。本日はぱれっと新作「9-nine-ここのつここのかここのいろ 第一章」の感想を書きます。原画和泉つばす氏とライターかずきふみ氏による期待作。ぱれっと作品は「ましろ色シンフォニー」以来となります。

それでは始めていきます。

 

※以下は作品のネタバレを多く含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

アーティファクトと特殊能力者の織りなす物語。

ヒロインと育んでいく信頼感と恋愛感情。

白巳津川で起こる怪奇事件の犯人とははたして・・・?

 

※公式サイトより引用

http://palette.clearrave.co.jp/product/kokoiro/

 

 

分かっちゃいたけど、桐谷華演じる妹がやっぱり可愛い

まぁ内容はひとまず置いといてこちらを。

とにかく妹がいいんだ(拳を握りつつ)。劇中でも兄である主人公にナチュラルに甘えまくり。「構って構って」と言いたげに生意気な口利いて、ワガママ言っては素気無くされつつ、妹が一人部屋が欲しいと親に催促した結果主人公が一人暮らしすることになったら今度はその部屋に入り浸り。子供のころからご近所のおばさん連中に「仲が良いわねー」って言われてたであろう年季の入った仲良しぶりを絡みの一個一個に差し込んでくるのがいちいちツボに来ます。その愛くるしさを言動や行動のクズっぷりに漏れなくミックスしてくるため登場シーンのたびに生じる中毒性は凄まじいものがあります。そういえば最近のエロゲって録音機能完備じゃなかったっけ?ってちょっと探したよ。なかったよ。

そして何といっても桐谷華さん。今更語るまでもないんですけどね、あんまり声優さん詳しくないんですがこの方の魅力はたまらないものがあります。プレイ中はもちろんのこと、記事書くついでにこうして動画で振り返りつつも「やっぱこの人いいわぁ…」と独り言ちつつニヤニヤしてました。なんなんでしょうねこの人。調子乗ってるのに「いいぞもっとやれ」な感じとか、毒舌かましてるのにゆるーく聞こえるこの声質。最初聴いたとき「新谷真弓さん?」って思ったんですけど、良くも悪くもマスコット的な印象が強い新谷さんと比較するとメインヒロインでも全然違和感ないこの人の汎用性って素晴らしいなと常々。もしこの人の単独ヒロインモノのエロゲなんて出たら僕の人生初の声優買いをしちゃうんじゃないでしょうか。

僕史上最高のクズ妹、そして桐谷華さんによる相乗効果。これだけでも買ってよかったなーと本気で思ってます。

 

 

分かっちゃいたけど、消化不良

 

さて本題。まず能力モノ、と聞いて一番に考えてしまうのはその能力で何ができるのか、何が起こるのか。例えば己が私利私欲に使うなり、またはべつの能力者が事件が起こしそれを解決するなり、すなわち能力を通じて劇中でどのようなアクションを見せてくれるのか、どのようなお話の広がりを見せてくれるのかということです。

上記の観点から言えば、本作は——シリーズ第一作目とはいえ——その期待に十二分に応えてくれたとは言えない出来だったように思えます。

というのもこのお話全体の肝と言ってもいい凄惨な怪奇事件が割と序盤で起こってしまうという展開の早急さに起因していたのではないでしょうか。

本来であれば徐々に明らかになっていくであろう能力やアーティファクトの説明などがやや駆け足気味に行われ、事態は急にシリアスな方向にシフトしていきます。

その後は犯人たる能力者の捜索におおかたの時間を割くことになり、世界観への没入がいまひとつのまま、そして結局犯人を特定することはできないまま物語は終わりを迎えます。

 

この手のお話のよくある流れとしては、日常に直結するような比較的緩い事件をいくつか挿入することで、まずはユーザーに対してこの物語の世界観へのチュートリアルを示すという手法が挙げられます。学園を舞台にしているなら、いっそ下着ドロとかどうでしょう?

ちなみに第一章のヒロイン「九条都」の能力は「相手の所有物を奪い、更に所有物に関する記憶を奪う」というもので、「アーティファクトの回収」が目的の主人公たちにとって非常に有効な能力となります。しかしアーティファクトを奪うこと」は能力の暴走を招き、結果所有者の命を奪う行為であることが、これも序盤で明らかになります。すなわち九条都が能力でもってアーティファクト関連の事件を解決することはアーティファクト所持者を殺してしまうことと同義となってしまうのです。この事実が判明するのが上記のように事件をいくつか解決したあとであればどうでしょう?正義感でもって事件解決をしていた九條都はもとより、それを眺めていたユーザーにとってもより衝撃的な心象を残せたのではないでしょうか。

 

単体でも楽しめる作品との文言は、何だったんだろう

同一の世界観、キャラクターを用いて物語を展開していくこの「9-nine」シリーズ。その第1作目と銘打たれた本作としては、本来であればこの第1章はお話し的に整合性が取れているかどうかということよりも、最初に言ったようにユーザーに対してシリーズそのものの魅力、世界観やキャラクターの関係性。アーティファクトや能力ってどんなものが?などなど。そういったお話を楽しむ上でのチュートリアル的要素を余すことなく伝えることが第一に期待すべきものではないかと思えます。ですので、上述の要素をクリアできているならば、作中の伏線や思わせぶりな謎がほとんどすべてが投げっぱなしに終わってしまったのも、さして問題とするべきことではないかもしれません。ですが僕が個人的に気になっているのは公式のアナウンスに関してです。曰く、「一つ一つのシリーズは独立しており単体でも楽しめる作品」と紹介されています。

じゃあこの消化不良に終わったお話の肝って果たして何だったんだろうと考えると、能力者同士のバトルだとか、作中の事件の犯人を追うサスペンス要素なんてまったく関係なく、本作におけるヒロイン「九條都」とのイチャイチャっぷりをひたすら楽しむこと、それしか考えられないのではないでしょうか。

 

ヒロイン「九條都」への丸投げ

劇中における世界的企業である「コロナグループ」。その社長令嬢の「九條都」はいわゆるいいとこのお嬢さんであるにもかかわらず、節約をモットーにするなど極めて庶民的感覚の持ち主で親しみやすい性格と人目を引く容姿を持つ、主人公にとっての高嶺の花。アーティファクトに選ばれたという高揚感と、彼女の持つ生来の正義感が事件解決への使命感を強く抱くことになります。

設定からもメインヒロイン感漂う「九條都」は非常に魅力的で、僕もお気に入りのヒロインなんですが、展開の性急さはヒロインとの恋愛関係に至るまでの描写不足にも直結してしまっています。

 

ヒロイン曰く「自分にはない主人公の行動力・発想力に感銘を受けた」「それがいつしか恋愛感情に変わっていった」とはいうものの、それを育んだであろう期間の短さ(この点は作中でも言及されています)や事件の数、というか能力の行使自体が少なすぎるように思います。

結局最初に遭遇する炎の能力者(暴走中)に使用し、あとは主人公への能力の詳細な説明と能力の有効範囲等の検証への使用がほとんど。

関係の進展に関して言えば、能力の検証を試みた結果、相手からモノを奪うだけではなく逆に返すことも可能で、更にその際にモノ自体の記憶も同時に操作していたことで記憶そのものへのアクセスが可能であることが判明します。そして主人公から自分への好意を抱いている記憶をみたことで、仲が一気に進展していきます。

これについては能力の解釈への柔軟性を示したという意味で今後においても価値のある描写だと思いますし、シーンとしても個人的に好きなんですが、やはりいささか性急では?と思わずにはいられません。

‟シリーズのデモンストレーションっぷりを補うべくヒロイン「九條都」とのイチャラブを軸に据えはしたものの、事件の謎を追うという作品の構成に引きずられるように、恋愛成分もまた消化不良に終わってしまい、中途半端さが余計に際立つ結果となったのではないか。”

これが今作における最終的な結論になります。

 

けれど今後への期待は持てる

こういうあからさまな分割商法ってあまり手を出してこなかったんですが、メリットとしては、

1.比較的安価にユーザーに商品を提供できる

2.長期間に渡ってユーザーの興味・関心を引き付けられる

3.ユーザーからの意見・要望を後続作品に反映させやすい

などが挙げられますが、デメリットとしては大抵の場合、最初の作品が最も売れ、その後売り上げが落ちていくことでしょう。

そのためにも第一章の時点で少々強引でも様々な謎・伏線を張り巡らせインパクトのある展開を用意する必要性があります。

凄惨な事件が起こったことは第二章第三章の根底にこびりついているはずです。たとえ今後日常的な事件の解決に終始したとしても、その存在をほんの少しでも仄めかすだけで作品への興味・関心を持続させることに繋がります。

 

あと最初に言ったようにテキストとか描写自体は非常に面白いんです。桐谷妹は別格としても、登場人物たちの会話がとにかく楽しい。ヒロインの九条都を除いて主人公とか担任、親友含めてみんないい感じにすれてていい感じにクソ野郎だからかな(褒めてます)。九条都にしてもそういう中で浮くわけでもなく良い子っぷりが際立つと言いますか。特に先の動画での主人公、妹、都のやりとりはもうずーっとニヤニヤしてました。まだ足りない。あれですね、かずきふみさんのテキストはやっぱり僕のツボってことが再確認できました。

 

なんだかんだこれが読めてよかったと最後には思わせてくれるような素晴らしい物語であってほしいなぁと心から。吉か凶か。鬼が出るか蛇が出るか。果たして今後「九条都」はヒロインとして出番はあるのか。いや、これ本当に気になってます。あまりにも中途半端に終わってしまったのが惜しすぎて・・・。それを確かめるためにも次回作の購入は確定なようで・・・くそう。