Nothing is difficult to those who have the will.

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

Illusion Is Mine 2022.10

カナリヤです。日常報告シリーズ音楽編。前回はこちら。

mywaymylove00.hatenablog.com

前回更新から2ヶ月空いてしまった、という事実が僕に重くのしかかっている。それもまた自身の心の赴くままに任せた結果だと受け止めるべきなのだとしても。

 

 

すべてがそこにありますように。 / THE SPELLBOUND


www.youtube.com

TVアニメ「ゴールデンカムイ」の第四期ED曲。THE SPELLBOUNDの初タイアップとなる本作は相変わらずのツインドラムによる力強さを軸としつつも女性コーラスというエッセンスを加えたことで柔らかさと疾走感とを両立。「聴き手の人生を閃光のように照らすことができたら」という思いが込められた楽曲は、濾過されたような爽快さのなかにシリアスな言葉の情報量がこれでもかと盛り込まれている。穏やかな渓流を想起させる静謐な小林祐介の歌声は運命を駆け抜けていった生命への祈りにも思え、それはもはやアンセムと呼んでも差し支えないほどの荘厳さを有している。

クセの強さをよく聞くものの数多の漫画好きを唸らせる「ゴールデンカムイ」を僕はいまだアニメを観たことも、ましてや原作の漫画も読んだことはないのだけれど、ここにきて味わいたい欲求が高まってきている。歌詞との連動性を含めて十全にこの曲を慈しむためにも。

 

萃点 / GEZAN with Million Wish Collective


www.youtube.com

「GEZAN with Million Wish Collective」名義での新曲。GEZANの呼びかけによって結成されたコーラスチームを加えた「GEZAN with Million Wish Collective」による圧巻のパフォーマンスの模様はFUJI ROCK FESTIVAL 2021にて一足先に味わっていた。赤々と燃えるようなステージで生命の息吹を数の暴力によって体言する。その土壌のなかでマヒトゥ・ザ・ピーポーによる歌声は無邪気にも映りつつ彼らの戦いの歌は一層熱を帯びていく。

満を持して初披露された新曲のMVはなんでもない日々の情景が挿入され、その中でバンドメンバーが赤い塗料を塗りたくった異様な姿で昼夜問わず踊り狂い、歌い、何かを訴えかける。生活を戦いと呼ばざるを得なくなった狂った時代において、あの時の日々を取り戻すための正気を失いかねない儀式を思わせる。いや儀式のよう、ではなくまさしく儀式なのだろう。あからさまなメッセージ性は目を背けることを決して許しはしない。

GEZANはもはや音楽というジャンルを飛び越え、人々の進むべきひとつの方向性を指し示す存在となり得たのかもしれない。

 

ALLESWITZ / ALLESWITZ


www.youtube.com

初期衝動の発露は諸刃の剣だ。誰かを傷付けかねない感情の行き先は大多数への不快感へと直結していく。しかし時に彼らの声にならない声が胸を穿つことがある。愚かしく幼稚で拙くも映る彼らの叫びが耳まで届き、そして体内を暴れ回ることが。

2020年のコロナ禍から活動を開始した彼らはそのすべてが異様だ。もともとオーソドックスな構成でスタートしたものの、徐々にグラインダーや自作のメタルパーカッション、変則型ドラムを取り入れ、今や7人構成のインダストリアル・ゴシック・ニューウェーブバンドと化した。ドイツ語の歌詞、メンバー全員がガスマスクやペストマスクを着用した出で立ち。スモークが焚かれ不明瞭なまま過激なパフォーマンスを繰り返す彼らは会場でたびたび出禁を喰らうほどだ。

彼らのbandcampにはこのような紹介文が記載されている。

Not telling anything, but telling something.  Drafting somewhere in the era.

alleswitz.bandcamp.com

何も言えやしないけれど、何かを語るのだ。この時代のどこかに書き記すのだ。

これは彼らの宣言なのか。それともこれを読み、そして聴くであろう僕らへの扇動なのか。疑問を抱いた時点で、感化は歩みを止めやしないだろう。

 

walls / cobble stone /Asian Glow


www.youtube.com


www.youtube.com

そのスピードで、涙を乾かせ。

韓国発シューゲイザーたちの台頭が目立つ昨今、彼らはまたしてもこちらの心を絶妙にくすぐる一品を仕上げてきた。パンク調を取り入れたサウンドはあまりにも直情的。その過ぎ去っていくスピード感はまさしく僕がシューゲイザーに求めていた音像そのものだった。ジャケットイラストは2008年にWOWOWで放送されたアニメ「カイバ」。記憶がデータ化可能となった世界で展開される愛らしくも哀しいSF作品のワンシーンをあえて採用した本作は、不可逆的なテーマ性も相まってそのノスタルジックな雰囲気を隠そうともしない。

 

また最近になって発表されたAsian Glowのカバーアルバム「Coverglow」では様々な年代の音楽を採用する中でフィッシュマンズスーパーカーといった日本が誇る往年のオルタナバンドが取り上げられている。アジアンテイストをふんだんに加えて大胆にアレンジしたかと思えば、過度に装飾することなく原曲に寄り添うリスペクトも見せている。


www.youtube.com


www.youtube.com

侵食されている。僕らの生活は刻一刻と彼らの音の中に埋没していく。

 

 

 

やっぱり何にも囚われることなく好き勝手に音楽を聴くことは楽しいなぁと改めて。つくづく僕はこういうことをただただしてたいんだなと。貴重な時間をこうして勤勉に、見方によっては無為に過ごすことはなかなかどうして嫌いじゃない。