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Nothing is difficult to those who have the will

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

「めいすぴ」と「DISCOGRAPHY」で味わえる日常感

エロゲ オルタナ

先日、「めいどさん すぴりっつ! ~わたしの中にいるあなた~」をクリアいたしました。クリアに擁した時間はおよそ3ヶ月弱。まぁ単純にやるヒマがなかっただけなんですが。

あまりに僕好みのエロゲだったもので、いっちょ感想なんぞを関係ないもの交えつつ青臭く語ってみようかなぁと思った次第です。

 
※致命的なネタバレは特にありません。

 

 めいすぴってどんなお話?

めいすぴ」は屋敷を舞台としたホームドラマです。

軽そうな性格だが根は大人。大家として皆を見守る江戸っ子口調が素敵な魔導師ペック。
優しく大人しい母親のようなメイド兼屋敷の精霊フィエナ。
王都警備隊に入隊するため田舎から出てきたグラマー(死語?)だが内面は幼いリーチェ。
料理人として王都で一旗あげるためにコモトからやってきた世話焼きなアヤリ。
魔導師になるため両親の反対を押し切って王都にやってきた背伸びしたがりのシャロ。
樽に入って河を流れてきたのをペック達に拾われ、なんだかんだで店子になった謎めいた自称吟遊詩人のクオ。
体験版を少しプレイするだけで彼女達の織りなす物語に穏やかな日常を感じ取れるはずです。
 
ヒロイン達はそれぞれ夢を抱いています。それを叶えるために日々努力を続けます。けれど思うようにはいきません。夢という曖昧だったものと現実に直面して自身の弱さを目の当たりにし自分を見失い、困惑不満諦念劣等感…そんな負の感情が次々と浮き彫りになっていきます。それらを恥だと思い時に悔し涙を浮かべるヒロイン達をペックはただただ「愛おしい」と包み込みます。なぜならそれは自らも経験してきたことだからです。先の見えない恐怖を抱きながらも叶えたい何かのために前に進もうとする未来ある彼女ら店子達に、過去のそうであった自分を重ねているのです。それをずっと前に乗り越えてきた「大人」として「大家」として、ペックはそんな彼女達を眩しく思いつつも見守り導いていく。そしてヒロインの成長が、前に進む姿勢が屋敷すら飛び越えてどこまでも伝播していく。周りの行動に影響を与えた結果幸福感は循環していく。めいすぴはそんな優しいお話なのです。
 

 アーティストの日常とは

僕の大好きな思い入れ深いとある曲があります。
その曲は冒頭から重量感のあるギターリフから始まり、そこから変態的なベースと軽快なドラムが加わって、そのアーティストには(当時としては)珍しくシンセも用いられ、最終的にはさながらカノンのように、全能感溢れる壮大な曲に仕上がっていきます。ロックンロールの愚直さにエキゾチックな音が絶妙に合わさった、素晴らしい楽曲です。
 
彼らアーティストというのは、同じことを繰り返します。曲をつくってはライブをこなし、曲をつくってはライブをこなし…
だけどそれはまったく同じではないんです。同じような場所をただぐるぐると回り続けているように見えるけれど、まるで螺旋階段を登っているように辿り着きたいどこかがきっとある。
だからこそ、その曲のタイトルは「DISCOGRAPHY」と言うんです。
カップリングと銘打たれているものの、アルバムにも収録され、PVも製作された、彼らストレイテナーにとって大事な曲。この曲がカップリングに留まっているのはきっと彼らにとっては特別なことなんかじゃない、いたって当たり前のことだからこそあえてその位置に据えている。
これが自分達のやってきたことなんだと、これが自分達の日常なんだと、胸を張って歌い続けている。そんな風に思うんです。
 

日常とは素晴らしいものだ

クオの「無知」「責任」、リーチェの「羞恥」「成熟」、シャロの「懸命さ」「意地」、アヤリの「嫉妬」「許容」
これは人そのものです。誰もが通った、もしくはその最中にいるであろう日常です。誰もが時に挫折し夢破れ未熟を自覚し踠いてけれども懸命に生きているんです。
 
ペックに向ける親愛が徐々に愛情に変わっていく、気づかせていくというより育っていくクオの意識。浸透していくような感情は幾度となく心を打ちませんか?
内面の幼さに自身の足りないものを自覚し結果女性としての魅力を女の意識を、確実に備えていくリーチェ。つぼみが花開いていくその様に湧き上がる高揚を抑えられますか?
愛され得る、女たり得る自分を肯定するために、シャロは弟子であるための、女であるための努力を止めません。その強さに何度も胸を熱くさせませんか?
ありのままの自分を好きでいてくれる、そんな自分を好きになっていくことを見つけていくアヤリ。彼女の見せる力の抜けた年相応のあどけなさは甚だ魅力的に写りませんか?
屋敷の前の主であるトゥリージ導兄に知らず導かれていたことに反発し子供のようにフィエナに感情を発露させるペック。「研究」を通じて知った導兄の思いを理解してフィエナと信頼関係を築いていき次第に表情のみで相手を思いやる、穏やかな日溜まりの中で見つけた分かち合う関係性に思わず涙腺は弛みませんか?
 
めいすぴ」のエピローグではユーザーに分かりやすい幸せの在り方を提示してくれます。そしてこれからも続いていくであろう楽しく賑やかな素晴らしい毎日を予感させる、そう、続きます。日常は続くんです。そんな素敵な余韻に包まれたラスト。
 
「DISCOGRAPHY」のアウトロで何度も繰り返すフレーズ

「I SING IT OUT SHOT IT OUT PLAY MY GUITAR」

彼らは今日も変わり映えのない日々を、日常を過ごします。歌い、叫び、ギターをかき鳴らします。そしていつの日か彼らの到達点を見せてくれる。
この先訪れるであろう素晴らしい日々を夢見てしまう、これもまた余韻と言えるものではないでしょうか。
 
そしてそれは、とても尊いものだと僕は思うんです。
 
※曲の解釈はあくまで個人的見解です。