Nothing is difficult to those who have the will.

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

Illusion Is Mine 2022.5~6

カナリヤです。日常報告シリーズ音楽編。前回はこちら。

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今月はなんだかバタバタで、その上ひと足早く訪れた夏の暑さにやられてしまったのか、どうにも疲れが抜けませんね。記事更新も遅れてしまったのはなんとも悔やまれます。

 

 

A LIGHT FOR ATTRACTING ATTENTION / The Smile


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Radioheadトム・ヨークとグリーンウッド、SONS OF KEMETのトム・スキナーからなる新バンドのデビューアルバム。三人体制ということもあり非常にミニマルな構成に仕上がりつつも、一音聴けば「トム・ヨークだ」と訴えかけてくる特徴的な音像を有していて、そのあまりにふわふわとした感覚が、僕の心に優しくスッと染み込んでくる。

Radioheadは、僕の中で軽々しくは聴けないバンドに位置している。彼らの発する焦燥感を助長する灰色のサウンドはどうしても僕の精神に容易く入り込む感覚があるからだ。The Smileはシリアスと呼ぶには重厚さに乏しく、チルと呼ぶには些か軽さが足りない。その両者を絶妙に行き来する「揺蕩い」が、彼らをこんなにもあっさりと聴き流せてしまう要因なのだと思う。この一年くらいずっと音楽に分かりやすいエグさ、鋭利さを求めてきた僕からすれば彼らこそが「チル」というものの形なのだろう。

 

歓喜天 / THE NOVEMBERS


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久々のライブ。久々の生音。爆音ですり潰され、踊り狂った一夜は、僕が待ちに待った、なによりも味わいたかったもの。

詳細記事はこちら。

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Stalled Flutes, means / Asian Glow


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韓国・ソウルを拠点とする Asian Glow。『リリィ・シュシュのすべて』からの影響を公言するシューゲイズ・プロジェクト Parannoul と共に注目を集める。音の煌めきがクルクルと鮮やかに回る。 Parannoul といい、韓国発シューゲイザーは僕の心を簡単にくすぐってくる。今際の際まで包まれていたいとすら思わせる解像度の高さに支えられた幻想的な音像を、僕は追い求めてしまうんだろうね。過去に囚われた僕は、いつだってその過去を愛せるようになりたいと思うのだから。

 

Ugly Season / Perfume Genius


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マイク・ハドレアスことパフューム・ジーニアスが2019年に上演された振付師ケイト・ウォリックによるダンス作品「The Sun Still Burns Here」のために書き下ろした楽曲からなる最新アルバム。パーカッシヴなサウンドで構成される本作は時にエレクトロを交えながらも色彩豊かに不安感と陶酔感を助長する。

僕はいつだって美しいものに触れていたい。自身や周囲の汚さに敏感に反応しその度に霹靂する潔癖な僕は、たとえ僕が汚らわしいものだとしても、せめてこの世には美しいものがあるのだと実感していたいのだ。では、美しいものとは何か。それは"何かに美しさを見出すこと"なのだと思う。立ち止まり、周囲の美しさにその目を、耳を向ける。手で触れ、「美しい」と言葉にすることで世界は美しく映るもの。僕はきっと、それを音楽を通してでしか実感できないのではないか。

不協和音と不安定さを軸としながらもリズミカルに構築された音像は追いつけない速度で通り過ぎる日常をたとえ一瞬でもこの場に留めてくれる。美しいものに気づかせてくれる時間を僕に与えてくれるのだ。

 

喘鳴 / downy


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3連続リリースシングルの最後を飾る本作は初期の彼らを思わせる激しさに特化したサウンド「枯渇」「叢雨」と進化を見せつけるような曲調から一転、ド直球なロックサウンドは相も変わらず秋山氏のドラミングが厳かに映えている。ライブの最終盤を意識したような余韻を引きずるラストは何よりも聴衆の目の前で披露することを意識しているかのよう。コロナ禍における様々な活動の制限、その渇きを受けての3作品は外圧に翻弄された鬱憤をぶちまけるかの如く今まで以上の鋭さでこちらに迫ってくるのだ。

 

会場制限&生配信という構成を取らざるを得なかった2020年彼らの唯一のライブ「雨曝しの月」。


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その不完全燃焼感を払拭するべく今年開催されたツアー「Re:雨曝しの月」は上記の新曲も惜しげもなく披露されたに違いない。一昨年配信で彼らを堪能した僕は、その満足感故に生音でより燦然と輝くだろう彼らを追い求める。いつの日か彼らの粛々と行わるパフォーマンスに、無言の拍手でもって応えてあげたいと強く、強く願わずにはいられない。

どうか、渇いた大地に降り注ぐ優しくはない雨粒が、先行きの見えない僕らの閉塞感を掻き消してくれますように。

 

 

 

今回の目玉はなんと言っても念願だったライブ参戦。2年という歳月を経てのライブは実に感慨深いものがありました。涙は出ませんでしたけどね。その期間、配信という新たな形でちょこちょこ堪能できたことは収穫ではありますが、やはり爆音を浴びる独特の感覚は格別なもの。心地よい疲れと共に耳に残る会場の音、道すがらやけにまったりと聴こえてくる街の喧騒はなんとも言えない余韻があるのです。ライブっていいよなぁ。音楽っていいよなぁ。そんなことを再確認できた日々でございました。