Nothing is difficult to those who have the will.

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

最近あなたの暮らしはどう 2022.5~6

カナリヤです。日常報告シリーズ。同人ゲーム編。前回はこちら。

mywaymylove00.hatenablog.com

暑くなってきましたね。梅雨はどうした。梅雨は。ヘトヘトになりながら帰ってきてはクーラーをつけて人類の叡智に感謝する日々がいよいよ始まりました。僕、世界で一番嫌いなものが夏なんですよ。ちなみに二番目は蜘蛛。

 

 

アルティメット・ノベル・ゲーム・ギャラクティカ

jnc-klg.sakura.ne.jp

サークル「人工クラゲ」作品。フリーゲーム。ノベルゲーム制作を題材にしたSFモノ、ではあるものの主としては大学生のモラトリアムを描いた日常モノ。この描写が非常にリアルで醸し出す空気感がとにかくたまりません。京都の街並みが淡々と描写される中でサークル仲間と共に過ごす一見無為にも思える時間。いつのまにか移りゆく光景は次第に自身とリンクして、一層センチメンタルな気分になってしまいますね。SF要素はやや拍子抜けではありますが、日常への回帰が常に根底にある本作は読後感が非常に良いんです。

東方ネタはまぁ置いとくとしても何度も同じ(ような)テキストを読まされたり、作中作が投げっぱなしだったりとユーザーとしてはやや不満に感じるものの、本質的には「青春時代のあるある」としてあっさり受け入れてしまうのは、僕自身が内容は全く異なれど曲がりなりにも似たような道を通った経験のある「大人」であるが故にでしょうか。正直ユーザーに優しくない要素はそこそこありますが、ある意味同人らしい「やりたいことをやってみた」作品でその振り切っていく感覚は却って本作の持つ日常描写を際立たせてくれます。

あと僕は機見(はたみ)さんより断然野之原派なのでそういう意味でも大満足だったり。Extraの距離を測りかねてる感じ、新鮮で実に良いと思います。あぁ甘酸っぱい。

僕はこういった二次元作品においては割と運命論者だったりするので他ルート欲しかった、みたいな感想抱かないんですよねぇ。提示されたものを正道と認識するだけ、みたいな。自分の頭で考えられないだけかもしれないけども。

 

クラウンワークス虚実概論0章そして1章

novelgame.jp

サークル「秘密結社bldk」作品。フリーゲーム。窓もなく装飾がかった扉だけが目立つ白い部屋でカウンセラーを名乗る男と対面する少年。友人を殺した罪で収監されたという彼は自身の記憶を探りながら真実を求めていきます。

心理学や哲学などこれでもかという程に詰め込まれた豊富な知識をもとに構成される本作は、まさしく厨二病全開。ネタバレになりますので言及は避けますが可愛い絵柄からの衝撃展開も含め刺さる人にはガッツリ刺さる、これまた同人作品らしい意欲作。

タイトルからも連作で、この一作だけではここからどのような作品になっていくのか想像できないのがネックと言えばネックかもしれません。煙に巻くような独自性あるテキストもそうした雰囲気を助長していて、正直易しい作品とは言い難いところはあります。TrueEndまでの選択肢選びも非常にややこしく公式で配布されている攻略チャートを見てもよく分からないところは実にもどかしい。でも個人的にはこういう引っ掛かりを覚えてしまうノベルゲーム嫌いじゃないですね。御前可愛い。

 

雨にして人を外れ

d10rama.com

サークル「D10RAMA」作品。フリーゲーム。どげざ2021ノミネート作品。ミステリアスな先輩と世間を賑わす殺人事件を巡るお話。短編ながら情緒溢れる文章が素晴らしい。ゲーム画面が常にモノクロで描写され梅雨時の憂いと不安定なジュブナイルを表している一方で、淡々と描写されるニヒルな後輩と無邪気な先輩の軽妙な掛け合いがツボ。OPにアニメーションが使われていたりオプション画面で傘がクルクル回転したりと細部にまで凝った演出が実に丁寧で好印象でした。本編後の「背中」のお話も含めてこのゆっくりと流れる二人の時間に、もっともっと浸っていたいです。

 

凪ノ恋

nutrients20190227.wixsite.com

サークル「Nutrients」作品。どげざ2021ノミネート作品。

記憶を失くした男は、名前と居場所をくれた少女を愛しました。

自らに価値を見出だせない男は、道を指し示してくれた少女を愛しました。

男と少女はゆっくりと愛を育み、これからの二人の幸せは希望に満ち溢れていました。

―― この二人から、一人を選び取れというのか。

主要人物のボイス完備、アニメーション付きOPムービーと、これまたフリーゲームとは思えない力の入った作品。スイレンの天真爛漫に見えてその実思慮に満ちた言動は周囲の人を笑顔にする心の暖かさが上手く表現されていましたし、サハナの凛とした格好良さと激情を秘めたところはギャップが効いていてどちらも非常に魅力的。声優さんの人物描写にマッチした演技の素晴らしさも相まって終盤の選択肢は苦しいものとなりましたね。

 

5、6月は一見本数は少ないながらなかなか濃ゆい時間を過ごしました。今月はさて、と考えていたらついさっきですが長らく続報がないままだった「BLACK SHEEP TOWN」の体験版が発表されましたね。シナリオがあの瀬戸口廉也氏ということで注目度も高かった本作ですが、有志の情報によれば近々発売予定らしいです。果たしてどうなることやら(半信半疑)。