Nothing is difficult to those who have the will.

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

最近あなたの暮らしはどう 2021.3~2021.8

カナリヤです。お久しぶりでございます。少し間を置いてしまいましたが、数ヶ月ぶりに筆を執ってみた次第。日常報告シリーズの前回はこちら。

mywaymylove00.hatenablog.com

なおこちらのシリーズはこれまで「その○」とカウントしていましたが、このまま続けていくようだと二桁に突入してしまいなんとも見栄えがよろしくないということでタイトル通り日付に改めました。マジでどうでもいいことですね。

 

今回の記事は同人ゲーム一本勝負となります。この数ヶ月、というか正味2ヶ月くらいですかね。ホントに同人ゲーム以外はほとんど手をつけていなかったのでは、と思えるくらいハマってしまいました。これが同人沼か…。

それでは始めていきます。

同人ノベルゲー

カガミハラ/ジャスティ

fragaria.info

サークル「フラガリア」作品。本編が無料で遊べるとのことでお試しでやってみたところ気付けばズブズブとのめり込んでいました。随所に見せるひぐらしリスペクトな展開や演出も過去味わってきた僕としてはこれぞ「THE 同人!」といった感じで懐かしさを抱きつつもあの頃のようにワクワクしながら読んでましたね。

内容は二転三転する正義と悪と戦争の、長く険しいお話。テロリズム、人種の壁、宗教観。複雑に絡み合った世界は最終的には目に見える平和という形で収束していきます。言ってしまえばこれは暑苦しい理想論でしかないのかもしれません。正直途中で露見するファンタジー要素には多少戸惑ったことも事実です。けれどそういったものを用意しなければ解決できないほど作中で提示した、そして今なお現実に蔓延る諸問題は根が深いのだと訴えかけているようです。

作品内において、上記の問題をどう捉えていくべきなのかということを明示したりすることはありません。それこそ作者が伝えたかった「思考を捨てるな」というメッセージなのだと思います。作者のTwitterによると次回作も近々発表の予定だとか。こちらも期待しています。

 

サークル「スタジオ・おまーじゅ」全作品

hommage.main.jp

わずか2ヶ月で公開分はすべて遊んだんですね。しかも他のゲームもやりながら。いいですねー頭悪いですねーこのカナリヤって人。

「スタジオ・おまーじゅ」という同人サークルを知ったのは今年始めくらいに期間限定でサークル全作品無料DL配布というまこと豪気なことをされている時でした。カガミハラ/ジャスティスといい、無料で配るのが流行っているのでしょうか。こちらはただただ助かりますが。

ただまぁ当時は正直申し訳ありませんが「無料ならとりあえずDLしとくかー。やるかわからんけど。なんか地味そうだし(ハナホジー」という感じでした(ド失礼)。その後Twitter経由で幾人もの鍛え抜かれた歴戦のノベルゲーマー達がこぞって年間ベストに挙げていることを知ってもなお「まぁあくまで個人の感想だから…」とさして響かず。いやはや無知とは恐ろしいものですな。まさかこの後大の大人が幾度となく号泣させられるとは。今なら「国シリーズ」という単語を見聞きしただけでツーッと涙を出せそうだというのに。さすがに泣いたツイをしすぎてフォロワーさんに呆れられましたよ。

このサークルの作品は、そのほとんどが日本と似て非なる「国」という共通するひとつの世界観を軸にしています。それぞれがそれぞれの立脚点を見出だしたり、時には迷い失ったり。人の一生や、生活の営み、文化の構築、過ぎ去っていく時間を細かく描写していきながら彼らの輝いていた瞬間を、淡く瑞々しいテキストによってその都度切り取ってくるのです。

僕はどちらかというと商業作品メインで遊んできた人間だったせいでしょうか、同人作品というのは良くも悪くも独りよがりな作風であるという感覚がどうしてもありました。誤解を恐れず言わせてもらえば、自由であることを武器にした目を見張る演出や展開はあっても同じくらいユーザーの方を向いていないようなシーンも詰め込んでいるような。

同人とはそういうものでだからこそ好きなように作り込めるんだ、と言われたらそれまでですが、だからこそ少なくともユーザーの方を向いている(と思われる)商業作品の方がなんだかんだミーハーな僕には楽しめるんだと思っていました。それはあながち間違った考えではなかったでしょうが、このサークルはそんな自分の浅はかさに一石を投じてくれたように思えました。

この作者のテキストは、なんと言いますか不思議な魅力があります。例えるなら田舎へと続いていくレールをただひたすらに走り抜けていく電車。そこから目に映り、やがて流れていってしまう風景でしょうか。車体とレールの規則正しい接触音が聴こえる中で、窓から覗く田園風景をただただ眺める。延々と続く田畑を好ましく思い、たまに姿を見せる川のせせらぎに雄大さや美しさをも覚える。木々の深緑に自然の壮大さを覚える一方で、無人の駅や半自然のような景観に盛衰の感傷を抱く。

そんな時間とともに過ぎ去っていくような情感を魅力的に思う心の在り様は人という種に普遍的に備わっているものだと思うのです。本作が一貫して描いていく「生」と「死」の切り取りは、それと同種のものを想起せざるを得ません。特に最新作となる「ハルカの国〜大正星霜編〜」は陳腐な言い方になりますが、傑作という言葉以外の表現が思いつきません。これほどまでに自然と心に沁み入ってくるテキストを、情動を沸き上がらせるテキストを僕は知りません。これは決して大袈裟な物言いではなく、年間ベストどころか歴代ベストに入ってもなんらおかしくない、それほどまでに衝撃を受けた作品となりました。

これを読まれている方でもしも本作を未プレイで、この拙い感想で少しでも興味を惹かれたという方がいましたら、是非その足で「ハルカの国」の体験版を触ってみてほしい。僕は元来人に何かを薦めることを苦手とする人間なのですが、今作に関してはこの心の揺さぶりを味わってほしいと強く願っています。思いを共有したいというよりも、こんな作品があるんだ、ということを何よりも知ってほしい。そんな使命感にも似た感情を抱かずにはいられません。

「ハルカの国」はまだ完結しておらず現在進行形で制作中。完成するのはおおよそ2年後だとか。本来であれば「長い」という感想を抱くところでしょう。でも不思議とそんな感情は流れてはきません。それは人の営みに比べたら大した時間ではないからでしょうか。もしくはそんな悟りめいたものなどではなく、とっくにこのサークルの信者となってしまったからかもしれません。なんにせよ、時間はかかっても彼女たちの旅の終わりを見守ることができる。彼女たちの行く末を暖かい気持ちで待ち続けることができる。その時間経過すらも今は愛おしいと思うのです。

 

THE BEAUTIFUL WORLD

www.techgian.jp

エロゲ情報雑誌「テックジャイアン」2011年10〜12月号に収録された幻のゲームです。雑誌の付録でありながらその挑戦的な作風にエロゲ界隈ではカルト的な人気を獲得していた作品。遅ればせながら存在を知ったものの本作はあくまで「雑誌の付録」であり一般商業作品とは違いなかなか流通せず中古市場でも値段が高騰。現在入手は極めて困難という状況に半ば諦めていましたが、本誌の休刊を期に再収録。

内容は「ザ・ペーパーバッグ」なる謎の殺人鬼による連続殺人事件を軸とした推理サスペンスモノ。一話の時点では陰欝とした要素を垣間見せながらもコメディタッチなノリにやや物足りなさを覚えました。しかし二話になると一気にギアを入れてきたのか、登場人物の異常性が徐々に露わになっていくシナリオ構成やフラグメントと呼ばれる登場人物の別視点による演出の巧妙さも相まって一転息も尽かせぬ展開に。他の方が漏れなく褒めちぎっていたのも納得の怪作でした。

作中では言及されていませんでしたが、「THE BEAUTIFUL WORLD(美しい世界)」とはおそらく歪さを抱えた登場人物達が個々に抱えていたであろうたどり着きたかった理想の居場所、在り方のことではないでしょうか。

登場するキャラ達はだれもかれも家庭や学校といった社会環境にねじれを抱えています。であるが故に自身の望む幸福を強く追い求め、それを手に入れようと、あるいは守ろうとするためにその人の思う「最善手」を選択してきます。それは他者から見れば「悪手」そのものであったり、他者の幸福を妨げる行為だったことでしょう。端から見れば幸福には到底結び付かない破滅への道なのだとしても、その人は悪手だったと気づけないままに必死で追いすがり、やがて理想は永遠に手の届かない存在へと昇華していく。人は完璧な存在足り得ない。だからこそ「理想」を追い求めるんだ。「人間」という存在への愚かさと哀しさと、愛おしさを嘔う、そんな作品だったと思います。

ただ残念な点を挙げるとしたら本作が未完であるということ。もうその一言に尽きます。一話の時点であらゆる伏線を張りまくり最終盤には新たな登場人物を出して続編を匂わせつつも、とうとうそれを回収することなく収録雑誌そのものが休刊という憂き目に。まぁ雑誌の付録として世に出てから10年もの歳月が流れていたことを思えば続編企画自体とっくの昔にポシャっていたと思いますが。鳴神玲と如月陽々子という精神的双子の行き着く先は一体どんなものだったのか。そこから見えるであろう「美しい世界」を見ることは、やっぱり叶わないのかと思うとつくづく残念でなりません。

…あぁもしかしたら「人間とは歪で不完全」というテーマ性故に本作は未完なのかもしれませんね。なるほどなー(深読み)。

 

そらのひらけたばしょ

www.dlsite.com

サークル「文芸部」作品。人間と「デュプリケート」と呼ばれる人造人間、両者に絡まる葛藤や徐々に忍び寄ってくる謎が織り成す青春SFミステリー。

ミステリー要素を全面に打ち出しており、作品自体も「出題編」「解答編」と分けられているのが大きな特徴。「出題編」発表当時は制作者による挑戦状と題して作中におけるとある謎に対しての解答をTwitterで募集し、正誤に関わらず参加者には漏れなく「解答編」を配布するというプレゼント企画を行っていました。

ただそもそも作中で提示される謎自体が推理モノとしてのカタルシスを期待するユーザーを満足させられるものであったかは疑問の残るものだったと思います。詳細は省きますが「出題編」の時点ではその謎に対する解答を導くための要素を提示しきれてはいないのです。ちなみにこれは作者自身も認めていることであり「解答を導くためには妄想を捗らせる必要がある」と「出題編」の作中あとがきで発言されています。それ自体悪く言うつもりはありませんが、そうなってきますと「あの時のあれはそういうことだったのか!」という推理モノ特有の「気づき」という要素がどうにも発現しえないのではないでしょうか。

個人的には淡々とした語り口で表現される内面描写は非常にセンシティヴで琴線に触れまくりでした。クラシックの印象的な旋律とともに紡がれるそれは非常に魅力的で、だからこそなまじ最初に「推理モノ」と名乗ってしまったが故に本作でフォーカスすべき点がぼやけてしまったのではないかと思うのです。また作中では「解答編」においても投げっぱなしになっている要素が多々あり、そちらに関しては読者の解釈に委ねていたりとなんだかちぐはぐな印象を覚えてしまいます。最初から「青春SFの雰囲気ゲー」なのであれば考察の予知という作品のアクセントとして処理できていたのかと思うと、つくづく惜しい。

…いや、なにも推理企画に参加したものの見事に惨敗した腹いせにこんな文章を書いているわけじゃないですよ…?

 

夏ゆめ彼方

www.freem.ne.jp

未来のプロ棋士として将来を嘱望されながら父の死をきっかけに目標を見失い心を閉ざした天才少年と、神様を名乗る女の子との将棋を通じたハートフルなお話、かと思いきや、第二章ではその優しさに心を暖かくしていたところにいきなり冷や水をぶっかけられるような容赦のない展開に。

夢を追いかけていく、その綺麗なお話のまま終わらせることも全然できた作品だったと思うんですよこれ。でも作者はそれを良しとはしませんでした。「夢」という言葉が祝福にもなり、呪いにもなるということをきちんと描いてこそ、「夢」という曖昧で輪郭のないものが一層凄みを増して迫ってくると思うんです。

プレイ時間はおよそ2時間程度。とは思えないほどに濃密でプレイした人間の心を容易にざわつかせる、フリーゲームにしておくには勿体ない作品でした。同作者の他作品もいずれやってみたいと思います。

 

さてこんな感じでした。もう馬鹿みたいに読みまくってましたね。ここ数ヶ月は色々ありすぎてあんなに楽しかったゲームですらそこまでやる気にならなくて、文章を書くことも億劫になってしまいましたが、やってみるとどちらも案外平気でした。ゲーム、超楽しい。文章書くの、超楽しい。音楽も少しずつ聴けるようになってきました。嗜好ってこういうことか、と改めて感じています。

ちなみに本シリーズは2000字程度で軽く触れていこう、がテーマだったはずなのに今回は5000字を突破してしまいました。どうしてこうなった。同じ轍を踏まないように次回以降は適度に吐き出していかなければ。それではまた。