Nothing is difficult to those who have the will.

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

最近あなたの暮らしはどう その7

カナリヤです。日常報告シリーズ第7弾。前回はこちら。

mywaymylove00.hatenablog.com

こういう軽い気持ちで書ける記事を定期的に更新することでブログ運営の精神的ハードルを下げていってるのは我ながらナイス!と思ってます。

 

 

エロゲ(正確には違うんだけども)

FLOWERS 春篇


FLOWERS オープニングムービー

百合ゲーというものに実質初めて挑戦したものの、なかなか苦い思い出となってしまいました。ここから育んでいくというのは果たしてできるのだろうか。

mywaymylove00.hatenablog.com

 

フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない

www.nitroplus.co.jp

NitroPlus作品。同メーカー所属ライター・一肇(にのまえ はじめ)氏によるホラー小説をゲーム化したもの。キャラデザはserial experiments lainを担当した安倍吉俊氏。遅ればせながら知ったんですが、めっさ面白いこれ。

あくまで原作小説の販促であり内容も原作一巻の第一章にあたるCase01:「願いの叶う家」のみでボリュームもたいしたことないんですが、音声もなく立ち絵も最小限。UIも体裁を整えたに過ぎない今作にグイグイと引き込まれてしまいました。原作を手掛ける一肇氏の文章力もさることながら無骨な白フォントで紡がれるビジュアルノベルはホラーと相性抜群で読み終わった後もしばらく放心状態に。気付けば原作をポチっていましたよ。

 

柊鰯

www.dlsite.com

先述の「フェノメノ」を受けて"ビジュアルノベルっていいよね"脳になってしまったので試しに評判の良かったこちらをプレイ。

生活能力皆無の35歳同人ライターと14歳美少女家政婦さんとのほのぼの生活、と銘打ってはいるもののセンシティブな問題に挑戦した意欲作。全体的に見れば自堕落な主人公の日々が柊さんが来たことで徐々に潤っていくことに充実感を覚える優しい物語なわけですが根底にある"震災"というものにどうしても向き合わざるを得なくなっていきます。当たり前に続いていた日常が無慈悲で無秩序な暴力によって瓦解してもなお日々は続いていく。ほのぼの生活を自ら勝ち取っていくからこそ描かれるなんでもない日常は改めて素晴らしいものなんだと実感します。結局は柊さん可愛い、という感想に集約していくって凄いことだと思うんですよ。

 

小説

psyche

PSYCHE (プシュケ) (スクウェア・エニックス・ノベルズ)

PSYCHE (プシュケ) (スクウェア・エニックス・ノベルズ)

  • 作者:唐辺 葉介
  • 発売日: 2008/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

どこからが夢でどこからが現実なのか、境界があやふやにされてしまう感覚とポツポツと語られる小気味良い文章が癖になります。主人公は不幸な身の上なはずなんですが、「死体泥棒」「つめたいオゾン」よりなんだかんだ鬱要素は控えめで幾分読みやすく感じてしまうのは徐々に簒奪されていく、欠けていくという展開ではなく主人公の破滅的な状況が序盤で既に提示されているせいかもしれません。だからこそ度々もたらされる救いの手を結果的に振り払い、独り蝶の海にその身を投げ出して堕ちていく構図にはある種の必然性が感じられ、いっそ美しさすら覚えてしまうのでしょうし、最後の主人公の気づきはゾクゾクした読後感も与えられてしまう。振り回されているのに浸れてしまうこの感じ、いずれ再読したいやつですね。

 

ドッペルゲンガーの恋人

ドッペルゲンガーの恋人 (星海社FICTIONS)

ドッペルゲンガーの恋人 (星海社FICTIONS)

  • 作者:唐辺 葉介
  • 発売日: 2011/08/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

飽きずに唐辺葉介。いやホント飽きないねこの人の文章は。個人的にこの作家の魅力はキャラクターの膿を出し切ることで清涼感を演出してくれる点にあると思いますが、氏の作品を読んでこんなにも不安感に晒されたのははじめての経験でなかなかに戸惑ってしまいました。発表時期的に「死体泥棒」の後に当たるわけですが、恋人への断ち難い想いを描いたという意味で両者の方向性は似通っているはずなのに、SFという要素が絡んでしまうとこうも生々しい感覚を覚えてしまうのか。不可能を可能にする技術は主人公だけではなく世界を次々と歪ませていき、読者は焦燥感に埋め尽くされてしまう。氏によるSFラブストーリーは「死体泥棒」の露骨な発典型でありその「死体泥棒」に対して不変的な親しみを感じてしまうのは、たとえ主人公が狂気を抱こうとも究極的には主人公の行動が人間として理解できる反応に依るものでありあくまでも許容できる倫理観を逸脱していないからだということをかくも露わにしてくれるからなのでしょう。

 

フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない

先述のビジュアルノベル版をプレイして興味が止まらなかったので衝動買いしてしまいました。演出込みとはいえゲーム版が原作を忠実に再現していただけあって全く違和感なく入り込めました。…まぁあのプレイした時の満足度を思えば、全編ゲームで出してくれないかなぁ、と思わずにいられないわけですが、それは無い物ねだりというものですよね。まぁ。今更声をあげたところでね。ええ。

「怪異はただそこに在るだけでそれ自体に意味はなく、意味を与えてしまうのは人間である」「見ようとすること、それ自体があちら側に足を踏み入れることに等しい」

本作はホラーというジャンルである以上、不可思議な現象が恐怖体験へと繋がっていくわけですが最終的に恐怖を感じてしまうのは、というよりも恐怖という感情を作り出してしまうのはあくまでも人間なのだということ。それを本作では殊更強調してきます。作中で提示される日常にかすかに生じる歪みや違和感は自身が当たり前に思っていた常識を簡単にねじ曲げてしまう。その喪失感・無為感を余すところなく描写する様はまさに圧巻。まだ一巻しか読んではいない状態で評価してしまうのは早計かもしれませんが、この現実性ある恐怖感を今後もたっぷりと味わいたいと思います。

 

今回小説やらノベル形式が多かったのは読み応えというものを求めている証拠なのかしら。とりあえず今月はフェノメノ完走しつつ、新しいエロゲにも手を出していきたいところです。できればビジュアルノベルがいいなぁ。…CARNIVAL…?いやぁ…(尻込み)。