Nothing is difficult to those who have the will.

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

遅ればせながら、2020年(に聴いた)アルバムベスト10を発表してみる。

あけましておめでとうございます。カナリヤです。本日は2020年(に聴いた)アルバムベスト10を発表したいと思います。ちなみに下記はエロゲベスト10の記事になります。よければご覧くださいませ。

mywaymylove00.hatenablog.com

エロゲベスト10ともども本来であれば昨年までに仕上げておくべきものだったのは言うまでもありません。

発表前にルールを説明しておきますと、

  1. 発売時期によらず2020年内に鑑賞したものを対象とする
  2. 再聴したものは対象外
  3. 初めての鑑賞でも年代が離れすぎているものは対象外
  4. シングル、EPは対象外

ということを念頭に置いて読んでいただければ。特に1に関しては当方のアンテナの感度の悪さ故の措置とお考えください。また3に関しては制限しないといくらでも出てくるので。いちおう今回は2000年代に発売されたものはそれを初めて鑑賞したのであればOKとしました(緩い)。

 

それでは始めていきます。

 

 

第10位

Dolphy Kick Bebop

「Briefvisit」

中国発のバンド。ジャンル不明。ジャズのようなアンビエントのような実験的構成をしています。さざ波のように優しく、けれど不穏な雰囲気をゆっくりと漂わせながらこちらを侵食し、満を持してサイケデリックな音圧をかましてくるのがたまりません。是非ライブで聴きたい。

 

第9位

Neptunian Maximalism

「Éons」

ベルギー発のバンド。これもジャンルは何になるんでしょうか。ジャズ?メタル?なんにせよ終始ごちゃごちゃしたスケールの大きさは細分化することを馬鹿馬鹿しく感じさせます。かっけーもんはただかっけーでいいんだよ、的な。日本語を冠したM-1「大徳明王の大太鼓」から始まるアジアンテイストをフィーチャーした激しいサウンドは本当に面白い。使用している楽器の数が多すぎて聴いてるうちにそのカオスっぷりに振り回されること間違いなし。

 

第8位

COALTAR OF THE DEEPERS「Yukari Telepath 」

1991年結成のオルタナティヴ・ロックバンドの6thアルバム。エレクトロニカを軸としながら様々な要素をゴチャ混ぜにした今作は時にスタイリッシュに、時に激しく、時に可笑しみを溢れさせる渾身のポップサウンドを形成しています。

mywaymylove00.hatenablog.com

 

第7位

アメリカ民謡研究会「朗読、それは極端に反芻される告知。これは私が時計を壊すための。」

www.youtube.comボカロPのHaniwa氏による同人音源。優しさに満ちたポエトリーリーディング。寂しげな歌詞は時に残酷で時に何かを失って。でも軒下にしとしとと降る小雨のような穏やかな曲調は不思議とネガティヴな感情を想起させません。起こる事象は常に風景ともに。あぁ、この人は徹頭徹尾「日常」というものを描き、そしてそれを忘れないようにしているんだな。

 

第6位

Soft Blue Shimmer「Nothing Happens Here」

アメリカはカリフォルニア州ロサンゼルス発のシューゲイザーバンド。 ジャケット通りの水辺を思わせる揺れ揺れギターに彩られた軽やかな疾走サウンドとステップを踏むように響く歌声は優しくも暖かさに満ちたエモさを引き出します。逼迫感のない穏やかな音色は慌ただしい日常さえも豊潤なものへと変えてしまうのでしょう。

 

第5位

downy「第七作品集『無題』」

2000年結成のインディーロックバンドの7thアルバム。リズム隊のぶつかり合いと歪むギターノイズ、ダダイズム的歌詞を不明瞭にするかのようなボーカルが織り成す幾何学的楽曲の数々は健在ですが、今作から新たにSANNOVA氏がサンプラーとして加入したことで、これまでになかった近未来を思わせるような機械的な雰囲気漂う楽曲をも生み出しています。Gt.青木裕氏の逝去は彼らに小さくない影響を与え続けていくのかもしれませんが、自由な発想のもと見たこともない音像をこれからも披露してくれることを切に願います。

 

第4位

Son lux「Tomorrows Ⅱ」

アメリカ発の音楽グループ。Aphex Twinから静謐さのみを切り取りそれを極限まで研ぎ澄ましたような美しい箱庭的世界観がたまらない。この音の間に差し込まれるミニマルな感性の素晴らしさは音の解像度が圧倒的に優れている証左と言えるのでは。

 

第3位

Boris with Merzbow「2ROI2PO」

1992年に結成したロックバンドBorisMerzbowこと秋田昌美との合作。ノイズってたとえそれが一瞬の描写であっても「不快だな」って感情を抱かせてしまったらそれだけで曲そのものが色褪せてしまうと思うんですよね。だからそれを他パートと調和させて楽曲として魅力的なものとして昇華させることがどれだけ繊細な作業なのか、ということをまざまざと見せつけてくるような圧倒的なサウンドは本当に度肝を抜かれました。

 

第2位

THE NOVEMBERS「ANGELS」

2005年に結成したオルタナティヴ・ロックバンドの7thアルバム。アンビエントとインダストリアルとの間で錯綜するサウンドは前作「Hallelujah」で垣間見せたシューゲイズサウンドからの深化を思わせます。今更ながらマイブラの「Loveless」にどハマりした僕にこの陶酔感が響かないわけがありません。密度を増した音圧は美しくも耽美な世界を陰陽両面で鮮やかに描写していきます。

 

第1位

THE NOVEMBERS「At The Beginning」

THE NOVEMBERSの8thアルバム。今年これよりも衝撃を与えてくれたアルバムは他にありません。僕をノベンバにのめり込ませた要因。

前作「ANGELS」で追求したインダストリアルな側面を今作ではさらに突き詰め全く隙のない機能美に満ちたサウンドを形成。「理解者」のいくつものレイヤーが重なり合った機械的な重厚な音圧はただただ圧倒してくるし、「Dead Heaven」「Hamletmachine」では更に重苦しさを増すようにバンドサウンドをゴリゴリに高めて打ちのめしてくる。かと思えば「薔薇の子供」のようなひたすらにシンセが鳴り響くポップな曲調やファンク調の「New York」、奥行きあるダンスブルな「消失点」を挟んできたりととにかく武器が多彩。「開け放たれた窓」のメロウなラストが本当に気持ちがいい。34分とは思えない味わい深い時間がそこにはありました。

正直ランキングの1位2位が連続ノベンバはさすがに芸が無さすぎでは…?と思いましたが、「At The Beginning」を存分に堪能した後で「ANGELS」を聴いた時にラストを飾るタイトル曲の「ANGELS」から「At The Beginning」の開幕「Rainbow」へと連続する音の系譜に心臓を射抜かれるくらいの感動を覚えてしまったので、これはもうしゃあない。完敗です。

 

終わりに

はい。ということで映えある第1位はTHE NOVEMBERSの「At The Beginning」です。僕にとっては彼らのワンツーフィニッシュで終わるのが何よりも相応しい。彼らをきっかけに広がりを見せた音楽的嗜好をこれからも追求していきたい所存。音楽はやはり楽しい。