Nothing is difficult to those who have the will.

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

遅ればせながら、2020年(にプレイした)エロゲベスト10を発表してみる。

あけましておめでとうございます。カナリヤです。2021年をとっくに迎えた今日この頃いかがお過ごしでしょうか。本日は昨年2020年に遊んだエロゲのなかで特に面白かった作品を遅ればせながらランキング形式で挙げてみたいと思います。本当は去年の年末までに仕上げておくべきものだったのは言われなくとも分かってる。また下記にアルバムベスト10も挙げておきます。よろしければ御覧くださいませ。

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さて、エロゲベスト10発表ですがいちおうのルールとしまして、

  1. あくまで2020年内にプレイを開始したもの
  2. 非18禁作品も含む
  3. 再プレイ作品は含めない

ということを念頭に置いて読んでいただければ。特に1に関しては開始時点が2020年内であればクリアが2021年にずれ込んでも今回は有りと見做しました。最後の最後にめっさ面白いのが来てしまったのが悪いんや…。

 

それでは始めていきます。

 

 

第10位

まおてん

『まおてん』 OPムービー

きゃんでぃそふと作品。シナリオライターはさかき傘氏。エロゲ界のスラップスティック職人と言えばこの人。定期的に良質なドタバタラブコメを提供してくれる人材は貴重です。

本作の天使と魔族が日常をぶっ壊してくる世界観がそうさせるんでしょうが登場キャラのネタ感がとにかく強いです。でも彼らのやりとりにそこまでくどさを感じさせないのはやはりライターさんの実力なんでしょうね。出来の良いショートコントを流れるように見せられる感覚は肩肘張らずに遊ぶにはピッタリ。

そして序盤からキッチリと伏線を張って終盤の爽快感に確実に繋げてくる点も見逃せません。シリアス展開はあっても最後はホッと息をつけさせてくれるからこそ氏の生み出す作品は満足度が高いのだと思います。ラムかわいいよラム。

第9位

紙の上の魔法使い

紙の上の魔法使い-プロモーションビデオ

ウグイスカグラ作品。悲劇に悲劇が重なり合う、救いのない物語のなかに生まれてくる希望というなかなか厄介なテーマ性を持つ作品でした。僕は妃が好きです。

このお話は良い意味でも悪い意味でも没入感というものが二の次になってしまう作品でした。エンジンのかかりの悪さにやきもきしながらも背後にいる存在を意識せざるを得ない、構成の妙がそこにはあったと思います。誰かの手によって終始躍らされている感覚。真実が明らかになりそうになったところで、スッとそれが取り上げられてしまう粘つくような気持ち悪さ。決して読後感の良い作品だったとは言えませんが、パッケージの愛らしさと陰欝とした雰囲気とのギャップはなかなか癖になりますね。

第8位

シロナガス島への帰還-Return to Shironagasu Island-

シロナガス島への帰還 -Return to Shironagasu Island-

旅の道屋制作のインディーゲーム。外の世界から隔離された孤島「シロナガス島」を舞台としたミステリーADV。やっぱり男の子なんでクローズドサークルを持ち出されるとどうしてもテンション上がってしまいますよね。

探索パートのときの各々の反応はバラエティに富んでおり時限イベントなど飽きさせない構成も素晴らしい。いわゆる純粋なミステリーとは言い難い要素もありますがキャラクターの言動がとにかく楽しく短めの作品ではありましたが非常に愛着の湧く作品でした。硬派を気取る探偵とコミュ障少女のバディがこれ一作で終わってしまうのはもったいないので是非シリーズ化してほしいですね。

第7位

ATRI-My Dear Moment


ANIPLEX.EXE『ATRI -My Dear Moments-』オープニングムービー

あのANIPLEXによる製作。枕とフロントウイングの共同制作。アートディレクターはあのSCA-自氏。そして今や飛ぶ鳥を落とす勢いの紺野アスタ氏がシナリオを担当、ということで発表当時から話題になりましたね。ブランド発足に際してのインタビューにてプロデューサーである島田氏から感じた並々ならぬノベルゲー愛に心が暖かくなったエロゲーマーは僕だけではないはず。

海面上昇によって地表のほとんどが海に沈んだ近未来。大切なものを見失いつつあった少年がロボットの少女と出会い、自身の心と向き合っていく物語はわかっていても心が暖まります。5〜10時間程度と短い作品ながらお話の濃厚さ、丁寧な描写の数々は2000円という低価格を思えばお買い得すぎるほど。

第6位

アマツツミ


アマツツミ 挿入ムービー

PurpleSoftware作品。真っ当な社会から隔離されていたひとりの青年が徐々に「人間性」を獲得していく物語。自らの特異な能力による行為の異常性を解せなかった青年が劇中の出来事を通じて知覚し、立ち止まり、そして感情を発露させていく過程は非常に見応えがありましたね。

ほぼ一本道で全ヒロインを攻略していくというなかなかタフな方式ではありましたが、どのヒロインも魅力的で抵抗なくスムーズに進められたのも大きい。克氏の肉感豊かな絵によって描かれるキャラクターたちがたまりませんな。こころんかわいい。愛ちゃんエロい。

第5位

ChronoBox


ChronoBox -クロノボックス- OPムービー

NO BLAND作品。理想的だったはずの楽園が徐々にその歪さを表面化させていき、やがて悲痛な真実を浮かび上がらせていく展開はその描写の丁寧さ、伏線の張り方もよく計算されていて、最後まで中弛みすることなく夢中でプレイできました。

詳細は省きますが18禁というくくりでしかできないショッキングな内容の数々はまさしく「古典的エロゲ」感。まざまざと見せつけてくれたのはある意味新鮮な気持ちに。インパクトだけなら今年遊んだなかでは断トツでしたね。

第4位

アオイトリ


アオイトリオープニングムービー

PurpleSoftware作品。「アマツツミ」に続いて同メーカーによるランクインを果たしました。僕を紫信者にさせてしまった戦犯です。

「アマツツミ」が神とも言うべき超越存在が「人間」になろうとする物語ならば、こちらはその神に凡愚である「人間」が「人間のまま」で超越してやろうという実に見事な連続性を見せつけてくる物語でした。そういう意味では「アマツツミ」と合わせてこの順位だったとも言えますね。

「アマツツミ」と被る部分ではありますが「超越的な能力故にその源となる存在理由に縛られてしまう」というロジックの組み立ては興味を強く惹かれて寝る間も惜しんでプレイしてしまいました。全体的に明朗としていた「アマツツミ」と比べて本作が終始鬱々とした雰囲気を漂わせていたのも対比として素晴らしい。こころんを彷彿とさせるポンコツ吸血鬼の愛くるしさはもはや罪。

第3位

アメイジング・グレイス-What color is your attribute?-


アメイジング・グレイス OPデモムービー

きゃべつそふと作品。序盤から丁寧に張り巡らせた伏線をポイントポイントで見事に回収し、圧倒的なカタルシス体験へと導いてくれたのには本当に参りました。

マイナス点はいくつかあります。でもこの作品で得られる気持ち良さはそんなものが吹っ飛んでしまうくらいの喜びに満ちあふれていたと思うのです。

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第2位

サクラノ詩


サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う- OPムービー

枕作品。開発に10年かかったと言われる名作エロゲです。プレイ時間の長いエロゲというのがもはや褒め言葉ではなくなって久しい時代にあってそんな時流とは逆行するような作品をここにきてプレイすることになるとは思わなんだ。しかし、しかし、あの素晴らしい読後感に支配された瞬間はこの作品をやって本当に良かったと心から思いました。鍛えられた数多のエロゲーマーをして魂の作品と謳われる本作はきっともう二度とはプレイできない、そういう瞬間を切り取ることができたことは僕の誇りとなりました。

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第1位

MUSICUS!


OVERDRIVE 最終作「MUSICUS!」CM映像

OVERDRIVE最終作でありみんな大好き瀬戸口廉也氏によるバンドを題材とした異色エロゲ。うんこ製造機かわいい。金田大好き。

人間賛歌。人間不信。人間心理をここぞとばかりにほじくり出し、それがどのようなものであろうとも衆目に晒すひどく下世話な、けれども瑞々しい尊さを感じずにはいられない。音楽というものの素晴らしさを説く一方でその音楽に溺れた人間の末路をも描いていく。瀬戸口氏の文章はやはり魅力に溢れています。

僕にとっては複雑な思いを抱く作品にはなりましたが、だからといってこのお話の価値が揺らぐわけではありません。大切な作品がまた増えました。折を見て、また触れてみたいと思います。

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終わりに

そんなわけで映えある第1位は昨年末にプレイを開始した「MUSICUS!」でした。楽しかった!

僕はエロゲ批評空間にも登録はしてませんし、プレイした作品に点数をつけるのがどうにも苦手です。なので今回の順位をつけるという試みも初めてやってみたのですが、結構楽しんで記事を書けました。異なる作品に対して各々の長所短所を鑑みて何を重視して評価していくのかをこうして考えていくのは、自身がその作品をどう捉えているのかが浮き彫りになるようで自分の中で新しい発見にも繋がったと思います。

2020年はこれまで積んでいたものやら気になってたけど手を出していなかったものやらTwitterで勧めていただいたものをひたすらに貪った年だったと言えます。いやホント学生時代ばりにエロゲ漬けの毎日で実に楽しい時間を過ごせました。

今年がどういう年になるかはまださっぱり分かりませんが、「楽しかった」と言える年にしたいですね。