STROLL AND ROLL 初回限定生産盤 (CD+DVD)
- アーティスト: the pillows
- 出版社/メーカー: DELICIOUS LABEL
- 発売日: 2016/04/06
- メディア: CD
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the pillows20thアルバム「STROLL AND ROLL」のレビューを書いてみます。
活動休止後2枚目のアルバムとなった今作は、長らくサポートを務めていたベーシスト鈴木淳がアレしてしまったこともあり前代未聞のベーシスト5人体制に。メンバーは以下の通り。
- 鹿島達也
- JIRO(GLAY,THE PREDATORS)
- 宮川トモユキ(髭)
- 上田ケンジ
- 有江嘉典(VOLA&ORIENTAL MACHINE)
普段から親交のあるJIRO、宮川トモユキ、そして近年pillowsでサポートを務めている有江嘉典といった面子は妥当な感じもしますが、ソングライター山中さわおを誰よりも早く見出し共にバンドを組むも、互いのエゴを消化できず脱退した初代リーダー上田ケンジ。そして上田ケンジが抜けた後、試行錯誤を繰り返しオルタナロックというスタイルを確立するまでのpillows第2期を支えた“盟友”鹿島達也が名を連ねるとは…!いやはやバスターズにはそれだけでたまらないものがありますな。
それではさっそく1曲目から参ります。
1.デブリ
ベース:鹿島達也
死ぬのにもってこいの芝居がかった夜に窓を叩く赤いコウモリ久しぶりじゃないか 丁度会いたかった上空まで案内してくれ
誰も知らない場所で夢をひとつ手放した孤独な儀式を済まして終わりを待ってる祈ることもなくGood night,baby
ソロという“メンテナンス”を経ての活動再開。そしてpillowsは末期へ——という意味なんだろうけど、誰も知らない場所で手放した夢、というのはまさしく彼のことなのでは、と密かに思ってみたり。わざわざPVに骸骨のマスクをかぶせたベーシストを登場させてるのも意味深なんですよね。
ベース:JIRO
先行配信シングル&ライヴ会場限定シングル。救いのない現状から明日への希望を謳った非常にメッセージ性の強い、今作のリードトラック。
手をつないで行こうぜそこに愛があるならこわくないだろう手をつないで行こうぜ昨日に笑われても明日と笑っていよう手をつないで行こうぜ
真っ直ぐなその歌詞。元来ひねくれ者のpillowsにはまったく似つかわしくない希望あふれるフレーズ。26年を経た今だからこそ、なんて言葉は陳腐かもしれないけど、それでもやっぱり重たくのしかかってくるものだと思うな。
Never on time! get up!寝返りたいヤツは手を上げろ!
………こうやって書き出すとなんだかとてもダサ(ry
歌詞はもうそのままの意味。甘美なジャンクと完璧なジャンプを手に入れるべく、見つけた手段はブルースドライブモンスター!
(両手を突き上げて)アウイエー!
冷えたコーラ 熱いDJキミと二人 ドライブ星にもっと響け ミュージックキミと二人 スマイル
偶然 街で出逢いたいキミの噂を聞いてみたい濡れた髪に触れてみたいキミの涙を拭いたいさっきもキミを思い出していた何度もキミを思い出している明日もキミを思い出すだろうけど名前も知らない
砂嵐に息を止めてキミのこと思い出すもう一度だけその優しい歌を聞かせてくれI'm waiting for hard rain
And I'm the end
That's easy
I'm waiting for hard rain
And I'm the end
Say good-bye
通り過ぎた愛の優しさにくるまって眠りにつく無数の星が煌く夜空よ僕は生きている 今もここで
僕らの日々を彩るデコレーション魔法のスピーカー 何度でも歌ってくれ孤独な夜の静寂を剥ぎ取った時代を貫くメッセージとロックミュージック
- メンフィスで産声を上げた王様=エルビス・プレスリー
- リバプールから夢を放つカブトムシ=ザ・ビートルズ
- レジナルドから降り注ぐ夢=レジナルド・フェッセンデン(ラジオ放送の父)
さあ行こうあてのない旅路を手ぶらで足の向くままあらすじが読めない物語作者も読者もページ捲るだけ
砂漠で立ち止まれば終わり歩き続ければどこかに着くぜ
まとめ
今回のアルバムのテーマは「ロックンロール」「郷愁」といったところ。山中さわおの“ロックンロールをより意識した"という言葉通り、ロックンロールがアルバムの多くを占めている一方で、ファンがクスリとできるような、そんな過去の楽曲を意識させてくれる構成やフレーズが非常に多くありました。「Subtropical Fantasy」と「彼女は今日,」の親近性はその最たるもの。ただそれはファンだけが懐かしいと思える感覚ではなく、山中さわお自身も音楽との向き合い方を改めて意識したからこそそうしたものを散りばめたのではないでしょうか。
「ロックンロールと太陽」「ブラゴダルノスト」「レディオテレグラフィー」では山中さわおが青春時代に音楽と出会い、のめりこんでいき、そしていつしか日常と化していく様が描写されていて、まさしくそれはpillowsとともに過ごした僕の青春時代そのものでした。
さあ行こうあてのない旅路を手ぶらで足の向くままあらすじが読めない物語作者も読者もページ捲るだけ
ねじ曲がった時代なんて関係ない(Please Mr.Lostman)
遊び足りないぜ 誘いたい(Wake up! dodo)
キミを連れて行くって決めたんだ 悪いけど(PIED PIPER)