Nothing is difficult to those who have the will.

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

オルタナティヴ・ロック IN MY HEAD状態。NUMBER GIRL TOUR 「逆噴射バンド」に行ってきました。

カナリヤです。本日は2月22日に仙台PITにて開催されました「NUMBER GIRL TOUR 2019-2020『逆噴射バンド』」のライブレポです。

あのNUMBER GIRLです。あの!NUMBER GIRLです。わずか7年という短い活動期間ながら土着的かつ詩情的歌詞に載せた先鋭的サウンドでロックファンを幾度となく唸らせ、震え上がらせ、数々の熱狂的ライブを演出した伝説のロックバンド。そんな彼らを生きてこの目で観る機会があろうとは…!冬の寒空は容赦なくこの身を突き刺すも、止めどなくほとばしる熱気はそれすらも心地好い。それでは始めます。

 

まさかの開始時間を間違えるカナリヤ

死にたくなりました。いやもうホントに。まさかのナンバガライブでとかこれはもう自死するしか。あぁ。あぁ。あぁ…!(言葉にできない)

いちおう言い訳しますと(誰に)、僕のなかでライブって午後7時から開始ってイメージがありまして。仕事終わってダッシュでいけば間に合うぜ的な。最近そういう機会が多かっただけなんですがね。なので午後6時開始なんて夢にも思わなかったというか。

そこまで楽しみにしてるんだったらそわそわと会場とか時間とかアクセスとかそういう確認を万全にしておけという話なんですが、当日はびっくりするくらい平常心でして。

最近はもう会場限定グッズを買うこともなくなり、並み居る強者達を押し退けてより近くの位置をキープすることもなくなったこともあって「開始時間に会場入りすればいいや」というひたすらに凪な気持ちが結果的には仇になったのでしょう。あとソロ参戦もね。

予定通り向かうも明らかに閑散とした会場前。大量の使用済みロッカー。会場の奥でうっすら聴こえてくる重低音の畝。……なんとなく自分の置かれた状況を、自分がやらかしてしまったことを察しながらも僕にできることは受付のお兄ちゃんにチケットの半券を切ってもらい、隣のお姉ちゃんにドリンクコインをもらうことだけ。いつもならそのコインでソフトドリンクを注文するところですが、この日ばかりはビールを注文。酔いたかったのかもしれません。酔うしかなかったのかもしれません。…喉が異常に乾いていやがる。

覚束ない足取りでなんとか出入口にたどり着き、恐る恐る押し開けようとしたその瞬間


NUM-AMI-DABUTZのイントロが。

ひさ子嬢のあのキレッキレの開幕殺伐フレーズを、ある意味最も向井秀徳らしいこのキラーチューンを扉の外から聴く羽目になったんだと気づいたときのこの絶望感。コントロール不能 の気持ち。気持ち良くはない。

 

 

以下のセトリに関しては序盤はネットで拾った情報を元に作成しております。なにせ聴けなかったからね。ははっ(自嘲)。悔しいから可能な限り動画載せてやれ。自分で観返すときにページの重さにうんざりするがいい。ふはは(錯乱)。

 

1.鉄風 鋭くなって

聴けませんでした。

にっこり笑って。鋭くなって。笑って笑って。風、鋭くなって。

2.タッチ


聴けませんでした。

暑さを嫌う若者たちは、冷えきった場所へ逃げてゆく。

3.ZEGEN vs UNDERCOVER


聴けませんでした。

おととしの事件を誰も覚えておらんように、オレもまたこの風景の中に消えてゆくのだろうか。

4.EIGHT BEATER


聴けませんでした。

ILLMATIC ELECTORIC GUITER SOUNDS FROM HAKATA NIPPON.

EIGHT BEATER IN THE FUCK'IN JAPANESE STYLE.

5.IGGY POP FUN CLUB


聴けませんでした。

このレコードを君は嫌いって言った。この曲を笑いながらヘンな歌って言った。

あの曲を、いま聞いてる。忘れてた。君の顔のりんかくを一寸思いだしたりしてみた。

 

てか初っ端からこの流れあまりにも卑怯じゃないですかね…。フルスロットルじゃないですか…。なんで僕は聴けなかったんだ…?

6.桜のダンス


聴けませんでした。ロッキンユー。

桜のダンスをお前は見たか?

季節と季節の間に遊ぶ風の声を貴様は聞いたか?

7.透明少女


聴けませんでした。前口上どんなんだったんだろう…。

透き通って見えるのだ。狂った街かどきらきら。気づいたら俺は夏だった風景。街の中へきえてゆく。

8.夕焼け小焼け

なんか最近よくカバーでこの曲を歌うらしいですよ、向井さん。いやまぁ聴けませんでした。

9.YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING


聴けませんでした。

歌詞の内容はまんま「夕焼け小焼け」でその侘しさ。寂しさ。無情さ。送る側、受け取る側の意識が交わればそこには新たな認識が拡がっていく。聴きたかったなぁ。

屋上から俺を見下ろしている、勝鳥のシルエットは何かを知っていた。

10.NUM-AMI-DABUTZ


扉の外から聴こえてきました(慟哭)。

冷凍都市の暮らし。あいつ姿くらまし。

11.SENTIMENTAL GIRL'S VIOLENT JOKE

笑う。笑う。あの娘は笑う。笑い狂う。殺人的に。

 

「完全崩壊!ディストラクション・ベイビー!」

12.DESTRUCTIN BABY


「仙台CITY…」(向井秀徳、お酒お代わり)

13.MANGA SICK


歪みっぷりは今日イチ。

14.CIBICCOさん

15.ウェイ?

16.U-REI

俺、憂う夕暮れに。たまにさァーとなるカンジ。

17.TATTOOあり


記憶探しの旅ばかり。しかしいつしかそれは妄想に変わっていく。

「仙台CITY…」(向井秀徳、お酒お代わり)

18.水色革命


「仙台CITY…」

19.日常に生きる少女

寒い日にコートを着る人は多い。あの娘も赫い外とうを着こんだりするんです。

「仙台CITY…」

20.TORANPOLINE GIRL


あの娘は笑っている。でもゆらいで、傷ついてそして飛ぶ。

MC

「仙台CITYの皆様。お久しぶーりぶーりでございます」

「福岡市博多区から参りましたNUMBER GIRLです。ドラムス、アヒトイナザワ

21.OMOIDE IN MY HEAD


ドカドカしたアヒトの手数の多すぎるドラムプレイとともに発せられたこの前口上を知らないでか…!これだ!これが聴きたかったんだ!感じ取りたかったんだ!共有したかったんだ!画面の中だけでしか知らなかった、知ることが敵わなかったこの熱気。空気感。会場の誰もが待ってましたと言わんばかりに一斉に「オイ!!」と叫ぶこの瞬間の尊さよ。

THE 向井秀徳というしかない独特なシャウティングに空間を支配する縦横無尽なアヒトイナザワのドラム。ひさ子嬢の悲鳴のように劈くギター、の中で存在感を失わずむしろ喰らい尽くすかのように中尾憲太郎(45)のベースラインが暴れ回る。これ以上にキまる曲があるのか!?憧れないやつがいるのか!?

突き飛ばせ!そしてどっかに捨てちまえ! IN MY HEAD!!

ちなみに今回は裏声 IN MY HEAD状態でございました。

22.I don't know

OMOIDE IN MY HEADから続けざまに放り込んできた「感電の記憶」ver.とは違い、向井秀徳は歌詞を滔々と語り始める。前曲の余韻が残るなか、あの狂ったような連続するイントロが、その後に訪れる俺は知らない、と静かに歌われる喪失感が、あの余裕という要素を一切合切取っ払ったかのような構成を早く表面化してほしいとゾクゾクしっぱなしの期待に応えない、ヤキモキさせるこの開戦前夜感。向井秀徳は心底たちが悪い。

EN

お酒片手に再び登場する向井秀徳。うん、知ってた。

「ありがとうございます。仙台CITY!」

23.転校生


ひさ子嬢のギターソロを無遠慮に覗き込む向井秀徳クソかっけー。

「仙台CITY!」

24.KU~KI

 

「女将さーん!おかわりー!」

25.透明少女(2回目)

まさかの2回目。

 

無題

去年の6月にはじめてZAZEN BOYSのライブを観に行ったときはあまりの衝撃に誇張なしでぶっ倒れそうになってしまった。その曲線的なグルーヴ。幾度となく繰り返し行われたであろうセッションに裏打ちされた超絶技巧の応酬はさながらリバーブローのようにゆっくりと僕の中身を侵食していく。身体と精神が摩耗してるにもかかわらず、ライブの翌日にはZAZEN BOYSの音源を漁り出し、部屋でひとりじっとしたまま爆音にその身を委ねる。飽きない。何度聴いても。そんな日が何日も続いてしばらくはもう彼らのことしか考えられなくなっていた。

NUMBER GIRLは既に終わってしまったバンドだ。今回のライブに際しても特別新曲を打ち出すこともなく、そこに新鮮味というものはない。だから僕としても「郷愁」というものを強く意識せざるをえないのだろうなと思っていた。

NUMBER GIRLの楽曲は鋭利なサウンドを軸としながらも、その実りんかくがぼやけた曖昧な映像が。残像が。夕暮れ時に赫く染まる空が、少女とともに歌詞世界の主体となることがほとんどだ。

「CIBICCOさん」後半からのメロウな雰囲気なんてまさしくそれだ。向井秀徳の内的世界とのリンクがガチッとハマった瞬間、その音像がたまらなく愛おしく思えてくるように。

NUMBER GIRLというバンドの有り様そのものが過去を懐かしむことを推奨しているかのような、誘導しているかのような感覚。「あーこの曲が聴きたかったんだよなぁ」としみじみと思うことを、感傷に浸ることを当然のように思えていた。この会場にくるまでは。

何度叩きのめされただろう。何度打ちのめされただろう。

ライブの翌日には同じように音源を漁り出し、同じように部屋でひとりじっとしたまま爆音にその身を委ねる。飽きない。何度聴いても。彼らが脳裏にこびりついて離れない。剥がれてくれない。

ZAZEN BOYSが今なお精力的に活動を行う、現在と未来が地続きであることを意識させてくれる存在であるならば、NUMBER GIRLははるか昔に途切れてしまった過去が突然目の前に現れたようなものだ。

過去はあまりにもギラついていた。鋭く、そして流れるような水色をしていた。