先日仙台 CLUB JUNK BOXにて開催されました「ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION」に行ってきました!令和初どころじゃない!人生初のZAZEN BOYSですよ!人生初のMATSURI SESSIONですよ!人生初のくりかえされる所業は無常ですよ!よみがえる、性的衝動…!!…うをーぃ!!!
以下はセトリ。全員正座!
- 1.Fender Telecaster
- 2.破裂音の朝
- 3.MABOROSHI IN MY BLOOD
- 4.Honnoji
- 5.COLD BEAT
- 6.RIFF MAN
- mc
- 7.新曲「公園には誰もいない」
- 8.Fureai
- 9.This is NORANEKO
- 10.TANUKI
- mc
- 11.Weekend
- 12.IKASAMA LOVE
- 13.暗黒屋
- 14.HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
- 15.新曲「杉並の少年」
- 16.新曲「黄泉の国」
- 17.天狗
- 18.WHISKY & UNUBORE
- mc
- 19.SUGAR MAN
- 20.はぁとぶれいく
- 21.Asobi
- En
- 22.新曲「黄泉の国」(2度目)
- 23.CRAZY DAYS CRAZY FEELING
- 僕の永遠のアイドルがパトリシアならば、永遠のヒーローは。
- 終わりに
1.Fender Telecaster
ZAZENの開幕と言えばこの動画のイメージが刷り込まれていたので向井秀徳が背を向けたままセッションが始まったときは震えましたねー。今日はとんでもない夜になる。そう思えました。
2.破裂音の朝
3.MABOROSHI IN MY BLOOD
4.Honnoji
5.COLD BEAT
動画では緊張感がドンと居座る本来のもの。今回のライブではスローになる中盤パートのメロウ感が印象的。ブチ上げる感覚から聴かせる感覚へ。翻弄される聴衆。それを真に望む聴衆。
向井「気が付けば泥沼!気が付けばポテサラ!気が付けばずんだ餅!」
6.RIFF MAN
mc
向井「Matsuri Studioからやって来ました、ZAZEN BOYSです。仙台City…」
7.新曲「公園には誰もいない」
向井「新曲が出来ております」
8.Fureai
9.This is NORANEKO
10.TANUKI
向井「野良猫か…?いや結局タヌキ!」
「(終盤)…結局ハクビシンだった」
mc
向井「Matsuri Studioからやって来ました、ZAZEN BOYSです。仙台City…」(2回目)
先日行われた荒吐ロックフェスへの移動中、カシオメン「ちょっとコーヒー買ってきます」と言い残し、新幹線に乗り遅れる。向井にMRI検査を勧められる。
11.Weekend
キターーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!(声出た)
カシオメンのキレッキレ&変態ソロの暴力性よ…!基本的には大人しくチマチマチマチマ変態フレーズ弾くマンが後半からその生来の変態性をあからさまに出しまくり無遠慮に場を支配しまくる。率直に言って最高。生で聴けてよかった。抱いて。というかもはや当たり前に聴いちゃってるけど柔道二段松下と新加入MIYA嬢の安定感がえぐすぎて、あれだけ好き勝手に弾きまくってるカシオメンが全然浮いてないのおかしくないか?僕がおかしいのか!?抱きしめろ!強くだ!
12.IKASAMA LOVE
13.暗黒屋
14.HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
15.新曲「杉並の少年」
向井「新曲が出来ております」(2回目)
16.新曲「黄泉の国」
向井「新曲が出来ております」(3回目)
17.天狗
向井「自衛隊のヘリかな…?ハトかな…?……と思ったら天狗!」
18.WHISKY & UNUBORE
酩酊を共にした東京freeze感。歌謡曲めいた向井秀徳の歌声も聴衆の合いの手も虚しさを助長するに過ぎない。
向井「わかるかなぁ。わっかんねえだろうなぁ」
mc
向井「Matsuri Studioからやって来ました、ZAZEN BOYSです。仙台City…」(3回目)
19.SUGAR MAN
向井「仙台Cityの人口の8割以上がー8割以上がー8割以上がーーー80%が!8割が !8割が!8割が!……HENTAI!!!」
向井「その男の、眼差しは、もしかしたら……とても優しい」
20.はぁとぶれいく
音のシンプルさが十二分に確立されているが故の安心感。向井秀徳アコースティック&エレクトリックのアレンジの方が当たり前になりつつある。無言で酒をチビっとやりながら柔道二段にプレッシャーをかけ続けるthis is 向井秀徳。ギターも持たず棒立ちで歌い、そして最後は聴衆に尻を向けておちゃらける、この目の前のおっさんが愛おしくて仕方ない。
21.Asobi
今日イチ。シンセなしのド直球アレンジ。シンセの曖昧ではっきりしたような交わりがない分リズム隊の音が迫ってくるかのようで心底背中がゾッとした。動画通りMIYA嬢が加入してからのnew ver.と思われ。いやぁスラップが映える映える。電子音楽めいた通常ver.と比べて音がシンプルな分、よりメンバー間のセッションの意味合いが強まっているからか鬼気迫る感覚がとてつもないことになっている。7分というこの曲にしては尺が短い分(その場にいたらあっちゅうまだよホント)濃縮されてお届けされちゃってる感じ。これ率直に言ってやべーやつ。
En
22.新曲「黄泉の国」(2度目)
向井「新曲が出来ております」(4回目)
23.CRAZY DAYS CRAZY FEELING
この曲がラストに来ようとは…!メンバーが発表当時とはガラッと変わっても、椎名林檎のコーラスがなかろうと、この‟ぼくのかんがえたさいきょうの曲”感は揺るぎはしない。グルーヴは盤石。聴衆はこの夜最後のMATSURI SESSIONを惜しむように、万感の思いで聴き入る。そして求め続ける。求め続ける。求め続ける。脳がユさぶられてサァーっとするあの感覚を。それはどこにある?それはどこにある?……ここにあるじゃないか……!!!
僕の永遠のアイドルがパトリシアならば、永遠のヒーローは。
兄が昔「ロックロックこんにちは!」というスピッツが主催するライブイベントに行った時のことだ。満を持して登場したスピッツは有名曲を惜しみなく披露し、観客を沸かしていた。曲が途切れる隙間時間、観客は目の前のバンドを褒め称えるように「マサムネ―!」とフロントマンである草野マサムネの名前を何度も叫んだ。しかし彼はそれに答えることなく淡々とMCを行い、淡々と予定の曲数をこなし、そしてステージを去っていったそうだ。
愛想のないその様を「いっそ清々しい」と兄は笑って話していたが、それを聞いた幼い僕はかっこいい人がいるもんだなぁと当時素直に思ったものだ。
向井秀徳の語り口は常に独特だ。繰り返しが好きだと公言する通り、何度も同じフレーズを多用したり、ひどく曖昧ではっきりしない言葉を用いて場の空気感を醸成しようとする。おそらくそこに僕たち聴衆の姿など微塵も感じていないのではないか。独善的で利己的で自身の音楽的追求しかそこにはないように映る。
無駄な緊迫感っていうか、自ら緊迫感を作ってたよね。それによって、サウンドに緊張感と張りが出るんじゃないかってそういう風に思ってましたから。仲良しグループじゃありませんよっていう。とはいっても、一番最初に福岡でやってるときは仲良しグループで、「楽しくギター・ロックやろうぜ」「バンドやろうぜ」っていう純朴なものだったんですよ。でもやればやるほど、自分たちはこういうことが出来るっていう可能性が見えてきて、もっとこういうことがやりたいとか、こういう風にしたい、それを成り立たせるためにはこうしなきゃいけないっていう状況になった。具体的にことの構え方が分かってきたんだよね。そうなると、だんだん眉間にシワが寄っていくわけよ。
――NUMBER GIRL再結成に際してのインタビューから
バンドマンは自身が「アーティスト」と形容されることを好ましく思わない、という話を聞いたことがある。曰く、自身の身勝手な発露でしかないものを芸術作品と謳われることへの嫌悪感であるとか。仕事としての本質ではなくとにかく「バンド」ありきへのこだわりであるとか。そういう自分らしく在りたいという欲求からの成り立ちが「アーティスト」という格式張った表現をされることにどうしようもなく違和感を覚えてしまうのだとか。
しかし向井秀徳は自分から「アーティスト」と名乗ることはなくとも、他者にそう形容されることを厭わないのではないか。
「MATSURI SESSION TOUR」は向井秀徳が率いるZAZEN BOYSが毎年欠かさず行っているライブツアーであり、その前口上は常に一定である。
「MATSURI STUDIOからMATSURI SESSIONを経てやって来ました、ZAZEN BOYS」
ファンへのお披露目という名目はあっても、それは彼らが絶えず行っている音楽的追求がMatsuri Studioから場所を変えて行われているに過ぎないという意味だ。
フロントマンである向井秀徳を除いて他3人は誰も聴衆の方を観ていない。その眼差しは常に同じバンドメンバーに向けられ、一音すら聴き逃すまいという緊張感・緊迫感が常にステージには漂っている。彼らから発せられるその異常性はあからさまで、その様相を見せつけられる僕らにもそれはありのまま伝播してくる。だから会場は独特な、他に類を見ない異様な雰囲気を形成する。その総合的な演出。聴衆の一挙手一投足すらも支配しようとする、それはまさしく先述した向井秀徳の目指した光景だったろう。これを「アーティスト」と言わずになんという。
その姿が僕は、僕らは嬉しくて仕方ないのだ、きっと。彼、彼らが自分たちを顧みず独善的に空間を創りあげていく過程をひたすらに眺めていくことがどれだけ僕らの心を躍らせるか。
向井秀徳までも後ろを向いたときはもうたまらない。それは合図だからだ。新たなるMATSURI SESSIONの開始の合図。そこに聴衆の入るスペースなどあるわけがない。その距離感。そこで生まれる何かを、その自己満足の塊を、僕らは聴き逃すまいと一心不乱に耳を傾けるのだ。羽虫のようだ、まるで。
「MATSURI STUDIOからMATSURI SESSIONを経てやって来ました、ZAZEN BOYS」
壊れた機械のようにひたすらそうとだけ語りかける向井秀徳に不満なんて存在しないのだ。そう在ってほしいからだ。
あの不思議な感覚を数日経った今でも覚えている。ラストのCRAZY DAYS CRAZY FEELING、僕はもう最後の力を振り絞ってギリギリのところで耐えていただけだった。頭はうまく回らず、足腰は震え、延々と流れてくる音にだけ鋭敏に反応するだけの。
ふと思考を手放すような感覚があった。右隣のえらく恰幅の良い、新陳代謝も良い男性の二の腕の柔らかさとか、左隣のカップルのイチャコラぶりとか、後ろでやたら手拍子しまくりそのたびに僕の後頭部をかすりまくる女性とか。瞬間的にその全てがどーでもよく思えたのだ。
あのとき僕はthis is 向井秀徳で、カシオメンだった。柔道二段松下で、MIYA嬢だった。吉田一郎で、町田のヤンキーで、アヒト・イナザワだった。ついでに54-71で、SEXY JOEで、椎名林檎だった。バグったのだ。独善的にも、あの空間を今まさに共に創っていると思いあがっていたのだ。信仰が生まれた瞬間だった。そして夜が終わった。終わってしまったのだ。
終わりに
この地でZAZEN BOYSがワンマンを開催するのは実に7年ぶりだそうだ。7年間僕はあの感覚を味わえないでいた?いやそうではない。7年ぶりに開催された今だからこそ僕はあの感覚を享受できたに違いない。忙殺される日々のその諸行無常が、一周回って、僕に新鮮な気持ちを抱かせてくれた。
新曲3つはどれもメロディアスな仕上がりで、製作中であるという新譜の期待感はいやがうえにも、高まるというもの。早く、早く聴きたい。そしてライブに行きたい。あの感覚が何だったのか確かめたい。僕はまだ、彼らと一緒に遊び足りないのだ。