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Nothing is difficult to those who have the will

エロゲとオルタナ。そんな感じ。ちょこちょこと書き綴っていこうと思います。

プレイ途中ながら「見上げてごらん、夜空の星を」の沙夜ルート雑感を書いてみる

カナリヤです。「見上げてごらん、夜空の星を」「見上げてごらん、夜空の星を FINE DAYS」における沙夜ルートの雑感です。まだプレイ途中ではありますが、僕の中でこの作品におけるメインヒロインが沙夜に確定したご報告(異論は認める)と、その理由を適当に書いていきます。致命的なネタバレはない、はず。

 

 

 天ノ川沙夜

「おっでーん!」でーん!(公式)

メインヒロインの一人。幼馴染。幼い頃から主人公を一途に思い続け、別々の学園に進学後も訳あって学校内の部室で生活する主人公に料理(母の手作り)を届けるその健気な姿に、ついたあだ名が「通い妻」

見た目や言動からほんわかした印象を与えますが現実問題「通い妻」している=「あ、私が先につばつけてますから!」と、周囲に対して主人公との関係をアピールしています。それを考慮すると(作中でも言及されてますが)どうしても腹黒さというものに結びつけてしまうのは必定かなぁと。でもそれはこの娘がほかの誰よりも「女の子」していることの一つの証左だろうと僕としては思うわけです。

 

天体観測の意義と繋いでいく時間軸

話は変わりますが、天体観測はとにかくマイナーで理解されないものである、という話がこの作品では何度か語られています。曰く、

「なぜ星を観るのか?」「そんなことをして楽しいのか?」

素人さんからそんな質問をぶつけられることも少なくないそうな。

 

大前提として、星の光というものは過去の光を現在で受け取っているんだということ。何万光年と離れた星からその輝きを地球で受け取る僕ら。けれどもしかしたらその光が届くであろう現在においてはその星はもう宇宙には存在していないのかもしれません。遠く果てしない距離を旅してきた小さな光に「きれいだ」と僕らが感嘆する傍らで、ひっそりとその生命を終えてしまっているのかもしれません。

織姫「気が遠くなるような、遥かな虚空の彼方に浮かぶ、4000億個の星々の大集団が放った光」

織姫「230万年という、永遠にも等しい時を越えて宇宙を旅してきたその光を、あなたは今、見ているのよ。この地球の大地から、ご自分の目で」

 過去の煌きが現在に至るからこそ、ようやくそれに思いを馳せることができる。陳腐な言葉ですが、こういうことをこそ「ロマン」と言えるのではないかと思います。

 

 

このゲームの大きな特徴として挙げられるのが、現在の状況がユーザーは知らない過去からの情報に基づいて構成されているんだ、ということをまざまざと見せつけてくれる点ではないでしょうか。例としていくつか挙げるとすれば、

  • 主人公がなぜ学校で生活をしているのか
  • 主人公はなぜ星を観なくなったのか
  • 元恩師のニート
  • もう一人の幼馴染ひかりとの確執

これらは作中において登場人物たちからもはや常識として扱われ、そこに至る理由にも全く触れられることなくサラッと流されています。

現在の状況が進んでいく中で合間合間に回想という形で過去が徐々に明らかになっていき、そこでようやくユーザーは登場人物たちと情報を共有できます。

 

こういった構成はなにも特別珍しいものではありません。エロゲに限らず漫画や小説、アニメ。「物語」と名の付くものならどこにでもあるような、よくある手法です。

それでも僕がこの演出をわざわざ大きな特徴として挙げ、特別な思いを抱く理由は先述の天体観測の意義と非常に密接な親和性があるということにほかなりません。

 

過去の光が現在に辿り着き、思いを馳せる。

過去の回想が現在に結びつき、思いを強くする。

 

沙夜は幼い時分から主人公を見つめ続け、さも夜空に浮かぶ星空のように、雲に覆われ時にその姿を消えてしまうこともあるけれど、それでも彼のそばに寄り添ってきました。主人公との過去と現在を絶えず紡いできた沙夜だからこそ、このゲームにおけるメインヒロインは彼女以外には考えられないと強く感じてしまいました。

もう一人の幼馴染箒星ひかりのルートは天文部仲間たちとの青春モノです。天体観測を通じて人々と触れ合い友情が芽生え、たとえ困難が起ころうとスカッとする逆転劇で爽快な読後感を与えてくれます。

それに比べると沙夜ルートは主人公と彼女との向き合い方に話の重きが置かれ、いささか地味な印象が拭えないのは否定できないところです。どちらを人に勧めるかと問われれば僕は迷いなく「真っ当な」青春モノであるひかりルートを推すと思います。

けれどそんな地味で意外性のない状況なんだということを強く意識したからこそ、それは彼女が主人公との関係性にこだわり、ここまで繋いできたことで存在し得たものなのだと、そうして描かれる沙夜ルートの自然な日常にどうしようもなく惹かれてたのです。ハプニングやギャップに頼ることなく男女の仲として進展していく、いわば「予定調和」というものをまざまざと見せつけられていると言いましょうか。ありきたりで退屈だ、ではなく予定通りに事が運ぶさまを安心してみていられる、そんな感覚が浮かんでくるんです。

 

本編のファンディスク「見上げてごらん、夜空の星を FINE DAYS」の沙夜アフターでは、普通の恋人同士が、普通のデートをする。それだけです。それだけのよくある「予定調和」のお話。

 沙夜「料理美味しかった。プラネタリウムも素敵だった。あっくんがお姫様扱いしてくれた」

 

 僕はいわゆるハッピーエンドが大好物で、そうなることが不自然でない限り登場人物たちには幸せな未来を築いていってほしいと常に思っています。だからたとえ話が尻切れトンボのような、取ってつけたようなハッピーエンドでもそこそこ満足してしまうような単純な思考です。竜頭蛇尾。全然オッケー。

 けれど先述のように天体観測になぞらえリンクさせ、過去と現在を結び付けてくれた沙夜ルートは無理やりにでもなんでもなく彼と彼女との幸せな未来をいともたやすく想像ができる。その計算された構成を僕は非常に美しく感じているんです。

 

未来にはほどほどに期待しつつ、幸福な今を生きよう。

 

 後になってこのゲームに思いを馳せたとき、「ひかりルートって面白かったなぁ」と思うことはあっても、「沙夜ルートっていい話だったよなぁ」と思うかは正直なところ分かりません。そのくらい淡々とした、ともすれば雑事に埋没してしまいそうな日常を僕は楽しんでいます。けれど今僕の胸に去来するほんわかしたあたたかなこの気持ちは、非常に得難い貴重なものなのではないか、こんなふわっとした感想を書いてしまった理由はまぁそんなところです。